北朝鮮の人権侵害に対して、国際社会は長年にわたって厳しく批判しているが、新たな疑惑が出てきた。

北朝鮮当局が、「小人症患者」を社会的に好ましくない存在として山奥の村に移住させて結婚、出産の自由も奪っているとアメリカの保守系ニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン」が伝えている。

小人症患者と健常者と結婚させるな

複数の脱北者の証言によると、この村は中朝国境に程近い両江道(リャンガンド)金亨稷(キムヒョンジク)郡蓮下里(リョナリ)にある。

小人症とは慢性疾患や胎内発育不全、成長ホルモン分泌不全などが原因で低身長となる疾患だ。北朝鮮当局は身長が120センチに満たない小人症患者が健常者と結婚、出産することを防いでいる。

さらに、障碍のある子どもの出産を未然に防ぐという優生学的目的に基づき、「全員処刑」まで計画していたが、国際社会の批判を恐れて強制移住政策に変更したという。

彼らは断種手術を強いられ、食料配給も受け取れず、「小人症患者が混雑した列車に乗ったら潰されてしまう」という理不尽な理由で他地域への旅行が制限されている。

断種手術は「人道に対する罪」

かつての日本でも優生保護法に基づき、多くのハンセン病患者に対して断種手術を行っていた。スウェーデンでも身体障碍者に対して断種手術が行われていたが、いずれも国が謝罪、補償を行った。

断種あるいは強制不妊手術は、国際刑事裁判所ローマ規程第7条において「人道に対する罪」の一つに規定されている。

同サイトは、北朝鮮当局が身体的障碍(しょうがい)は先祖や個人の罪によるものだという迷信と、すべての人民は働かなければならないとする政策に基づき小人症の患者たちを弾圧していると伝える。

朝鮮中央テレビに障碍者登場させ国際社会を批判

そうした反面、北朝鮮では小人症患者は、よく働き臨機の才があるとのイメージがあり、村(蓮下里)の男性と結婚する女性もいるという。

北朝鮮専門家のマイケル・ブリン氏は、「このような政策は北朝鮮政府が民族の純血にこだわることによるもの」と語った。

朝鮮中央テレビは1月11日に放送した「私は心臓で幸せを見る」、2月11日に放送した「ありがたき懐で私たちは暮らします」という番組に北朝鮮の障碍者を登場させ、国際社会の北朝鮮の人権に対する問題提起を批判させている。

人権問題が提起されるたびに、公式メディアを火消しを計ろうとするのは北朝鮮当局の常套手段だが、強制移住と断種の事実が明るみに出たことで、さらに厳しく批判される可能性も出てきた。

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