北朝鮮では90年代の食料難の時期、自然発生的に「ヤミ市場」が生まれ、現在では当局が追認、公認した「市場=公設市場」となっている。この市場では多くの屋台、つまり「店舗」が構えられているが、この数が大幅に増えているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

ヤミ市場の「屋台」から公設市場の「テナント」へ

両江道の情報筋は次のように伝える。

「恵山市の市場内で2012年以後の3年間で、店舗数が大幅に増えたが、北朝鮮当局も個人の商人を通じて収入を増やしている」

市場で店舗を構えるためには、商売税(場所代、管理費)を市場管理をする道(行政区画)の人民委員会商業課に払う。いわば「テナント料」のようなものだ。この「テナント料」を見込んで商業課は店舗数を増やしている。

両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)市にある「恵山農民市場」は2012年末には3600店舗だったが、現在では、4000個〜5000個に増えたという。また、やみくもに数を増やすだけでなくマーケティング戦略に基づいた数やコーナー面積の増減などの工夫まで行っているとのことだ。

「さほど売れ行きがよくないキッチン用品などのコーナーを縮小し、住民に人気がある商品を扱う店舗のコーナーが大幅に増えた」(情報筋)

各地の市場でテナントが増加

また、同じく両江道に位置する恵山市の「蓮峯(ヨンボン)市場」の店舗数(人数)は3年間で店舗数が、755から1047に増加。「ウィヨン市場」は879から1124、「淵豊(ヨンプン)市場」は392から744に増加した。

他の情報筋によると「恵山鉱山」がある「馬山(マサン)市場」は、2011年の700から712と少し増加だったが、この理由について次のように説明した。

「馬山市場の周辺に住むのは、主に鉱山労働者だ。配給や給料の代わりにコメ、油、小麦粉などが現物支給されることから市場のニーズが比較的少ない。だから他の地域に比べて増えていないようだ」

これ以外の地域でも同じような現象が起きている。

咸鏡南道の「北青(プクチョン)市場」でも、店舗数は大幅に増加し、「市場で最も多いコメを売る店舗は、コーナーがわけられ商人も約350人はいる」(咸鏡南道(ハムギョンナムド)の消息筋)という。江原道(カンウォンド)の「元山市場」は、3000から4000店舗が、現在では5700店舗と、各地で店舗数が大幅に増加した。

北朝鮮当局の狙いは税収アップ

北朝鮮当局は、住民達にある程度自由な市場活動をさせ、そこから場所代という「商売税」を得て、収入増を目論んでいる。住民達も当局の狙いは、わかっているが、市場が活性化することから概ね肯定的に評価している。

「店舗数が増えれば増えるほど、北朝鮮当局の税収はアップする。『恵山農民市場』では1日の商売税だけでも400万ウォン以上で、1ヶ月にすると1億ウォン以上の税収だ。恵山市には5つの市場があるから数億ウォン単位の税収になることから、当局が店舗数を増加する理由もそこにある」

その一方で「韓国製品」に対する統制が、最近強化されていることから店舗を奪われる、つまり営業許可が剥奪されるケースもある。こうした店舗は、また別の商人に任されるが、大きさや種類に応じて、150万ウォン(1m)から多くて400万ウォン(2.5 m)の商売税を払う。

また、一般的に「電子製品」などの高価な商品を取り扱う店舗の商売税は1日約1500ウォン、食品などを販売する店舗は約500ウォンという。こうして、販売する商品の種類や店舗のスペースの大きさに応じ商売税も変わる。

住民達が創り出し、もはや当局でさえ統制できない北朝鮮の「草の根資本主義」。これに触発される形で、北朝鮮当局も徐々に市場経済の要領を学んでいるようだ。

北朝鮮のとある地方都市の「ダニ市場」
北朝鮮の市場周辺の様子(参考資料)

    関連記事