北朝鮮憲法の75条には「公民は居住、旅行の自由を有する」とあるが、現実は正反対だ。他の地域に行くには事前に旅行証がなければ鉄道などの交通手段を利用できない。

それだけでも面倒なのに、北朝鮮当局が住民の脱北を防ぐために国境地域旅行証の発行部署を市や郡から道の保安署に変更し、手続きをさらに面倒にした。

旅行証発行部署が市・郡から道の保安署へ

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は次のように語った。

「今年の初めから道・市・郡の保安署2部(旅行証を発行する部署)での手続きが変更になった。他の地域への旅行証発行手続きは従来通りだが、国境地域に行く場合は以前のように市や郡の保安署ではなく道の保安局2部に行って旅行証を受け取らなければならない。手続きが非常にめんどくさくなった」

「工場、企業所の従業員の集まりの場で『不必要に国境地域には行かないように』と何度も警告されている。工場丹東の保安員までやって来て『国境地域に頻繁に行く者は要監視リストに入れる』と恫喝した」

「賄賂」と「脱北防止」が目的

このような手続きの変更には賄賂と脱北をなくそうとする意図があるようだ。

「市、郡の保安署2部の指導員に賄賂を渡して旅行証を発給してもらうのは日常茶飯事になっているが、これをなくそうとしているようだ。同時に脱北をブロックする意図もある」

「市や郡クラスの工場、企業所は市や郡の保安署2部に申請してから道の保安署2部に改めて申請することになった。道の保安署2部は横柄極まりないので、行商の女性なども国境地域旅行証の個人での申請は諦めたりしている」(内部情報筋)

庶民は非難「賄賂さえつかませれば解決」

しかし、内部情報筋は人々が口々に今回の措置を非難しその実効性に疑問を抱いている。

「もういい加減に緩くしろ。なんでまた厳しくするんだ」

「いくら証明書の申請をめんどくさくしても脱北する人は脱北する」

「あんな紙切れ(旅行証)、賄賂さえつかませとけばすぐにもらえるだろ」