北朝鮮当局が最近、家族や親族に脱北者がいる、もしくはその疑いがある場合、連座制で昇進を制限するようになったとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

労働党関係者は母方の親戚まで身辺調査

今年初めから、全幹部に対する大々的な身元調査が行われ、家族に脱北者がいないか調べられているという。両江道(リャンガンド)の情報筋は次のように伝えた。

「今年から、家族の中に脱北者がいる幹部はいくら能力が高くても幹部事業(人事異動)に制限を受けることになった」

「役職についていても脱北者がいることがわかれば昇進はストップする。一般的な機関、企業所の支配人などの行政幹部は父方だけが調査の対象だが、党幹部は母方の親戚まで身辺調査を入念に行っている」

「脱北者が減らないので北朝鮮当局は脱北者に対する統制を強化して脱北者をさらに減らそうとしているのだろう」

内部情報筋によると、家族の中に脱北者や行方不明者がいる幹部は「ニセの死亡診断書」を作ってごまかそうとするとのことだ。

「保衛部などの権力機関の幹部は遠縁の親戚に至るまで身辺調査が行われている。『会ったこともない遠い親戚のせいでなんでこんな目にあうんだ』と不満を口にする幹部もいる」

「政治大学に入ろうとしていたある保安員は、妻の腹違いの叔母が脱北したことがバレて出世できなくなったので妻と離婚した」(内部情報筋)

庶民「出世より韓国にいる家族からの仕送りの方がいい」

一方、北朝鮮社会のなかで無理に出世しなくてもいいと思う人もいる。なぜなら幹部になったからと言って必ずしもいい暮らしが出来るわけではないからだ。

「今の北朝鮮では権力よりカネがモノを言う時代だ。出世するよりも韓国にいる脱北者家族から仕送りしてもらったほうがいいと考える人たちもいる」(内部情報筋)

北朝鮮当局は、いくら脱北者対策をしても一向に減らないことから、「脱北者家族追放令」を撤回して再度の帰国を促し、帰国したら「最上の優遇政策」を行っていると宣伝している。いわば懐柔策だ。

しかし、実際に帰国した脱北者を待ち構えているのは、やはり刑罰であり、祖国を裏切った脱北者という社会的な烙印だ。