先月北朝鮮の朝鮮中央通信が報道した金正日の新義州訪問ニュースはでたらめの可能性があると、新義州の内部消息筋が伝えた。
11月24日に新義州で、金正日の現地指導に対する歓迎イベントである「1号行事」が行われたが、金正日が登場したのか否かははっきり知られていないという。
朝鮮中央通信は先月25日、訪問日時は明確に報道せず、金正日が平安北道の新義州にある化粧品工場の石鹸生産ラインや楽園機械連合企業所を視察したと報道し、合計30枚の写真を公開した。
同消息筋は「新義州で11月23日の夕方5時から突然保衛部、保安署の課長級以上の幹部の緊急会議が召集された。保安署の一般の保安員はただの会議だと思ったが、次の日電撃的に行事が行われた」と伝えた。
また、新義州の化粧品工場では24日の昼休みから突然非常会議が開かれ、工場の労働者たちを全員会議室に集めた後、護衛総局の人たちが会議室を封鎖し、トイレにも行かせなかったという。電工や修理工の4人だけが会議室の外にいたという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面工場の労働者たちは何も知らず午後3時ごろに作業に復帰できたが、金正日が訪れていたことはテレビのニュースで知ったという。
それらのことを踏まえて、新義州の化粧品工場で1号行事が行われたのは事実だが、金正日を見た人はいない。また、統制も通常より緩かったため、本当に金正日が訪問したのかどうかについては分からないという噂が多いという。
もちろん、金正日は現地訪問で多くの人の前に現れることはないが、工場の企業所を視察したのであれば、必ず初級党の書記や作業班長が随行する。金正日に接見した作業班の人は金正日から1号プレゼントをもらうために、金正日の訪問は必ず奄ノなるという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面さらに、金正日が新義州の化粧品工場を本当に訪問したのであれば、党の幹部にとっては光栄なことで出世が約束される大きな事件だという。また、金正日の訪問が事実ならば、今ごろ派手に宣伝をするのが当然だが、特別な動きが何一つ無いのも不思議だという。
先月24日に新義州に滞在していた中国・丹東の朝鮮族の貿易商Aさんも、「その時期に金正日が新義州を訪れたという話を聞いていない」と述べた。
新義州をよく訪れるAさんは「金正日が新義州を訪問したら、多分彼の安全のために新義州と丹東の往来が全て遮断される。身元がはっきりしている数人くらいしか新義州に入れない。貨物車両の検問も厳しくなる。金正日が訪問する当日は新義州の鉄橋も遮断される。金正日が到着する1週間前と、新義州を発ってから2日間は1人も新義州に出入りすることができない。しかし、今年の9月中旬から11月末までそういうことは一切なかった」と話した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面新義州を経由し12月初旬に中国に入った北朝鮮の旅行客Bさんは、「将軍様が新義州に来たニュースは中国で知った。もし将軍様が本当に来ていたら、新義州が大騒ぎになったと思うが、私が出た時も普段とあまり変わらなかった」と話した。
Bさんによると、北朝鮮の慣例上、金正日が軍部隊ではなく人民経済の分野を視察する場合、(1)護衛司令部や保衛司令部(国境地域の場合、保衛司令部の役割が大きくなる)が最前線で警護を担当する、(2)その次は国家安全保衛部、(3)その次が人民保安省、(4)最後は現地規察隊や様々な濫?コ力(教導隊など)が警備を担当するという。最前線とその次を担当する警護関係者以外の一般の住民はなぜ警戒や検問が強化されるのか正確な理由も知らないという。
金正日が新義州を訪問すると、鴨緑江(中国・丹東方向)やトン川(北朝鮮のビダン島方向)の国境警備がさらに厳しくなる。また、新義州に入る主要道路が訪問1週間前から遮断され、特に2号哨舎(新義州に入る最後の関門)は徹底的に統制される。
それ以外にも、金正日が新義州に滞在する間、全住民の移動や大衆の交通がストップするのはもちろん、すべての野外活動や集会が禁止される。また、金正日の訪問にあわせて大々的に街の清掃や環境整備が始まる。
しかし、先月の24日に新義州にいたというBさんは、「当時、特別なことは何も起きていなかった」と話した。
これと関連し、丹東の貿易関係者の間では、北朝鮮が金正日の健康悪化説を一蹴するために「新義州の現地指導」という手を使ったという推測も出ている。
丹東の対北貿易業者Cさんは、「新義州が今年のようにざわざわした時はない。あまり健康じゃない金正日がそのような新義州を訪問したというが、合点がいかないところが多い」と話した。
また、「4月から中央党で国境検閲をするという指示が出ていたため、新義州全体が大騒ぎになった。張成沢まで来たから。検閲で指摘された事項がちゃんと施行されているのか確認する『後閲事業』もまだ終わっていないのに、金正日が新義州を訪問したというのは何かつじつまが合わない」と話した。
さらに、「新義州のことなら、丹東にいても裏事情まで分かるほどだ。金正日が元気だということを外部に知らせるためには新義州ほどよい所はない」と説明した。