空き巣にブツを盗み出されて発覚

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北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)に位置する、茂山鉱山の党組織書記が薬物事件で解任され、現在も国家安全保衛部にも厳しく捜査されていると伝えられた。

デイリーNKジャパンの内部情報筋は26日、「今月初め、茂山鉱山の労働党委員会組織書記が、オルム(氷=覚せい剤)1キロを家に隠し持っていたが、この家に空き巣に入った窃盗の男性二人が物色していたところオルムを見つけて盗み出した」と伝えた。

窃盗の二人は別の家に侵入したが、そこで逮捕された。その後、茂山保安署の取り調べを受ける過程で、先の党書記の家から覚せい剤を盗み出したことが発覚。党書記にまで捜査が及び、書記は現職から解任され、咸鏡北道国家安全保衛部に連行され現在も取り調べを受けているという。

覚せい剤1グラムで人民元100ウォン

情報筋によると、覚せい剤1グラムあたりの相場は100中国人民元。逮捕された書記が隠し持っていた1キロの覚せい剤は、北朝鮮では10万ウォン(約1,600円:コメにして約20キロ)になる。中国のバイニンに売れば3倍近い、30万元を荒稼ぎできることから、覚せい剤販売に手を染める高位級幹部が後を絶たない。

「保衛部の取り調べで覚せい剤の出所が明るみに出たため、件の書記を容易に釈放できなくなった。バイニンだけでなく生産ルートも次々に捜査を受けている」(情報筋)

後を絶たない幹部による覚せい剤販売

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金正恩氏が指導者になってから、麻薬販売も政治犯同等の処罰を与えるという指示が出された。本来なら重刑に処されるが、この書記は大量に隠し持っておらず、販売もしてなかったことから政治犯収容所ではなく教化所送り程度で済むという。

覚せい剤犯罪に関しては、2010年12月に正恩氏の意向で、保衛部に麻薬捜査専門「1218常務」が組織された。これ以後、幹部の麻薬取引や所持に対する大ふ々的な検閲が行われた。当時摘発された幹部は、政治犯とみなされ収容所に収監されたと情報筋は語る。

こうした取り締まりが厳しくなる反面、最近では高位級幹部までもが「麻薬取引」に手を染めたり隠し持つケースが増加している。

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覚せい剤に絡む過去の事件としては、2011年に咸鏡北道の清津(チョンジン)駅で第9軍団政治部長の妻が、覚せい剤2キロを所持していたことが発覚し逮捕された。同じ年、咸鏡北道の保衛部長と清津市青岩(チョンアム)区域の検察所長が、5キロ以上の麻薬を取引して摘発されるなど、幹部の「薬物売買」は、年々増加している。

事件が起きた地域の住民達は、幹部が覚せい剤を所持していたことに呆れて次のように語った。

「普段から『麻薬取引は、党と祖国を裏切る逆賊行為と同じだ」と叫びながら覚せい剤を隠し持っていたことに驚かされる。厚かましい人物だが、泥棒のせいで悪行がバレたとは笑わせる」(地元の住民)