官邸幹部も関わった?「京都スキーム」

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在日本朝鮮人総連合会(総連)中央本部の土地・建物が転売された経緯について、2日発売の『週刊ポスト』が詳細に報じている。

総連本部の土地・建物をめぐっては、競売で落札(約22億円)した不動産関連会社のマルナカホールディングス(高松市)が、山形県酒田市の不動産会社グリーンフォーリストに44億円(推定)で転売。グリーン社は総連と賃貸契約を結ぶ見込みであると報道されている。

週刊ポストは、この取引を仲介した山内俊夫元参院議員を直撃。総連が本部ビルを継続使用できるようになることで、日朝関係に好影響が及び日本人拉致問題などが解決に向け進展することを期待している、との発言を引き出している。

同誌はまた、マルナカHDからグリーン社への転売スキームが組まれる以前に、「京都駅前の広大な土地」を原資とした計画が練られ、これには官邸幹部も関わっていた形跡があったが、同誌2014年7月4日号の報道を受けてお蔵入りになったとも指摘している。

過去に抗争の「いわくつき物件」

一方、ここで言われている「京都駅前の広大な土地」に、あるメガバンクが関与していた事実はあまり知られていない。

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京都市内の業界事情に詳しい不動産業者が話す。

「メガバンクの京都支店が、昨年3月24日付で極度額15億円の根抵当権を設定しているのです。あの土地は、かつての消費者金融大手・武富士がバブル期に地上げを行う過程でトラブルとなり、山口組系暴力団などの抗争が起きたいわくつきの物件です。抗争では死人が何人も出ている。昔の話とはいえ、そうした物件に天下のメガバンクが15億円もの融通枠を付けるとは、ずいぶん果敢なビジネスをするものだと思いました」

土地の実質的な所有者は、許宗萬(ホ・ジョンマン)総連議長と近い関係にある京都の実業家F氏。件の土地には総連系の旧朝銀北海道信組を前身とするウリ信用組合が極度額計20億円の根抵当権を設定しており、メガバンクの根抵当権はそれに次ぐ「2番抵当」だった。

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メガバンクの動向に詳しい金融ジャーナリストは、次のように語る。

「金融庁が『反社会的勢力の排除』を厳しく指導している昨今、いくら過去の話とはいえ、暴力団抗争の火種になった土地に融資をするような場合には金融機関はきわめて慎重になる。政府や金融当局の相当な理解を得ておかなければ、あとで問題視されかねませんからね」

もっとも、メガバンクは昨年8月中旬になって根抵当権を解除している。この事実は週刊ポストが指摘する通り、同誌の報道を受けて総連本部の「転売スキーム」が挫折したことを意味しているのだろうか。

(取材・文/ジャーナリスト 承山京一)