くず鉄を満載して平壌に向かうトラック(本文とは関係ありません)
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新年戦闘に乗り出した北朝鮮の工場企業所では「くず鉄」と「堆肥(人糞など)」の生産計画を100%超過達成していると北朝鮮メディアが連日報道している。

しかし、この数字の裏には庶民たちの「自前の金」によって数字が達成されているという現実がある。

平壌の内部情報筋が米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対して次のように語った。

「毎朝人民班長がやって来て堆肥を差し出せとうるさい」

「1週間のノルマはバケツ4杯だが、マンションに住んでいる人はお金で解決する」

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平壌では堆肥がバケツ1杯で500ウォン。これが4杯なら大金ではないが、決して小さな額ではない。

「堆肥を作るための人糞を集めるトイレが整備されていない都会の人々は、毎年新年になると堆肥のことで悩まされる」

「毎年のことなのでお金で解決している」

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人々が堆肥を買ったお金は農民のために使われると説明されているが、実際は役場の幹部や協同農場のイルクン(職員)たちのポケットに消えると思われている。

金正恩氏は、人民の税負担をなくすよう何度も指示しているが、農業中心の北朝鮮経済が改善されるまではこのような状況は続かざるをえない。

「毎年都合よくくず鉄ができるはずがない」「それでも出せ」

また、南浦市の内部情報筋は「くず鉄も庶民の自前の金で生産されている」と述べた。

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「新年戦闘の課題としてくず鉄10キロが割り当てられたが、達成できなかったので1キロ700ウォンで10キロ分を現金で収めた」

「毎年毎年都合よく家庭からくず鉄が出るわけがない」

「工場や機関では従業員からお金を集めて降仙(カンソン)製鋼所でくず鉄を買い、新年戦闘が始まれば製鋼所に戻して割り当てられたノルマを達成する」

北朝鮮民衆のこうした涙ぐましい苦労が、北朝鮮メディアの手にかかると「降仙製鋼所にくず鉄がどんどん運び込まれている」とあたかも何かを生み出したかのごとき「大本営発表」となるわけだ。

中国で1950年代に繰り広げられた大躍進運動では、農村から農機具を供出させて溶かして鉄にして「ノルマ達成」と喧伝していたが、これと何ら変わりはない。そして、農機具を失った農村では他の失策も重なったため大飢饉が発生し数千万人が餓死した。

北朝鮮の民衆は、90年代半ばからの大飢饉「苦難の行軍」を経験してたくまくしなった。しかし、国家による無駄な計画経済のおかげで、相変わらず苦しい生活を強いられていることが「堆肥」と「くず鉄」からも伝わってくる。