デイリーNKは13日に、北朝鮮政府の高官との電話インタビューについに成功しました。最近、北朝鮮が韓国の民間団体のビラ問題を理由に開城工業団地や金剛山観光が中止される可能性があると警告したことについて聞きました。同高官は「食糧問題や経済問題にさらされていなかったら、すでに開城工業団地は閉鎖されただろう」と答えました。つまり、ビラ問題などではなく、体制問題と関係があるということです。しかし、金正日の健康に関しては聞かないでほしいと口を閉ざしました。最近の北朝鮮の動きと関連して考えると、北朝鮮の思惑が少しずつ分かってきそうです。
- 北朝鮮が開城工業団地を閉鎖するのではないかという懸念が出ている。
そういうことは秋から公に言われている。しかし、閉鎖は昨年末にすでに中央党が決めていた。
これから開城工業団地がどうなるのか、私もわからない。ややこしい問題が多すぎる。中央党では開城工業団地と観光はやめて、金剛山観光は存続させるという話もある。開城工業団地を閉鎖するか否かは「将軍様」の決断と我々の経済環境に掛かっている。
- 金正日は元気なのか。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面そうだ。そういう話は聞かないでほしい。
- ややこしい問題とは…。
金剛山観光と開城工業団地の問題は昔から議論が多かった問題だ。金剛山観光については、白頭山や九月山も開放しようという意見があった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面90年代の食糧難、特に1996年末から1997年初めまで、経済部門の人たちが観光産業を発展させ外貨を稼ぐべきだという意見を中央党に提案したが、「資本主義の文化を呼び寄せる反革命行為」とされ、大変な目に遭った。
当時、一般の講演会でも「観光でお金を儲けようとする行為には資本主義の腐った文化を内部に引き寄せる不純な意図が込められている」と住民たちを教育していた。
ロシア大使だったソン・ソンsルをはじめ、対外貿易総局と朝鮮観光総局の多くの人たちが観光事業で開放を主張したという理由で仕事を失ったり、消えてしまった。しかし、そうしたことがあってからわずか1年も経たないうちに金剛山観光が始まった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面開城工業地区も同じだ。初めから議論が多かった。資本主義企業が入ってくるということも問題だったが、その対象が韓国ということがもっと問題だった。そのため、一部の関係者は草の根を食べることになっても、絶対反対だと主張した。
だから、今も中央党のなかには金剛山観光や開城工業団地について否定的な意見を持っている人が多い。もちろん、もっと発展させていこうという人もいる。
- 今、中央党の内部ではすでに開城工業団地への方針が決まったのか。
そう思ったほうがいい。なぜなら、開城工業団地の初期には労働者を1年に1回交代させるつもりだったが、実際にやってみると、労働者を交代することは不可能だった。
今は開城工業団地の労働者とその家族を通じて、韓国についてのうわさが広まっている。こうした状況を中央党が知らないふりをすることはできなくなった。住民たちが韓国に憧れていることを無視できなくなったのだ。
中央党には、金剛山や開城工業団地の労働者一人一人が資本主義を宣伝するポスターのように見える。彼らのせいで、我々の社会主義体制に亀裂ができる可能性もある。
私が知っているかぎりでは、今まで資本主義と韓国を宣伝したという理由で開城工業団地で法廷制裁を受けた人が最低20人はいる。開城工業団地で働いている人をみんな集めて、その場で法的制裁をくだしたこともあった。それでも、中央党は安心できないというのだ。
- 今になって開城工業団地の閉鎖という話が出ているのは、李明博政権を圧迫しようとする思惑だけなのか。
我々が大げさに言っていると思わないでほしい。我々も情勢も見ながら対応している。実は今年の「新年共同社説」を作成していたときは中央党も情勢を相当楽観的に見ていたという。6カ国協議をはじめ、すべての問題を解決する鍵は我々が持っていると、我々がどう動くかによってアメリカも追いかけてくると思っていた。
5〜6月ごろ、アメリカがテロ支援国指定解除、敵国貿易法を解除すれば、貿易の状況もよくなると思っていた。また、李明博も経済的な実利を求めているため、アメリカとの関係さえうまく行けば、韓国も仕方なくついてくるだろうというのが中央党の判断だった。
しかし、春から食糧状況がややこしくなり、アメリカもテロ支援国指定解除問題で我々を騙した。結局解決はしたが…。それに、李明博政権は我々に誠意を見せていない。だから、開城工業団地の話が公に出て来てしまったのだ。
- 開城工業団地で稼ぐドルを無視できるのか。
正直、私がお金のことで開城工業団地を始めたとしたら、いまでも韓国に金剛山観光客銃殺事件に柔軟に対処し、金剛山観光を再開すればよいと考える。我々にとっては韓国のお金じゃなくてもよい。中国のお金や、ロシアのお金、それにアメリカドルもある。
- 開城工業団地を閉鎖するのであれば、他の対案はあるのか。
情勢が楽観的だという判断の基で、開城工業団地を閉鎖する問題を2つの時点で話し合った。
まず、開城-南浦間、開城-羅先(羅津-先峰経済特区)間に鉄道を繋ぎ、南浦市を経済特区にし、羅先地区を香港のようにする。きちんと運送ができ、電気や鉄道が整えば、開城工業団地を続ける必要はない。
南浦に経済特区を作る場合、韓国の企業をそこに誘致して、開城にある企業も南浦に移せばいい。もちろん、韓国との摩擦はあっても、結局、我々の思う通りになると考えている。特に鉄道さえきちんと建設できれば、韓国の企業が南浦より羅先に来ると思っている。
南浦に経済特区を作り、韓国の企業を誘致する場合、韓国は資金と資材を支援し、工場運営権は我々が持てばよい。韓国企業は製品を独占し、その販売利益を我々と分ける方式で運営すればいい。
もう一つは、李明博政権が関係悪化を選んだ場合、羅先に集中させるという計画だ。羅先は中国とロシアの支援をもらい、運営すればよい。羅先がうまくいけば、韓国企業も結局関心を持って、来ると思う。
- 中国とロシアの支援を望んで、韓国を放棄することは納得しがたい。
羅先開発は6月に中国の国家副主席である習近平が訪れた際に、すでに10億ドルの支援の約束をしてもらったという話もある。今は、ロシアからも支援の約束をもらった。これから、開発に拍車をかける。南浦地区についてはまだ話す段階ではない。私は南浦を開放することはむずかしいと思う。
- なぜ軍部はビラ問題を挙げているのか。
それは私が答える問題ではない。しかし、韓国もビラで得ようとするものがあるのではないか。軍部も何もしないでいると、中央党の検閲の際にひどい目に遭うかもしれないため、放置することができない。
我々にとって開城工業団地は、「金か、社会主義か」を決める問題だ。今年、アメリカと関係が発展し、食糧問題や経済問題にさらされなかったら、今頃すでに開城工業団地は閉鎖されていたかもしれない。