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訪韓しているアメリカの代表的な北朝鮮経済専門家であるマーカス・ノーランド博士(ピーターャ桃総ロ経済研究所)と12日、「デイリーNK」がインタビューを行った。ノーランド博士は韓国で、北朝鮮に投資していたり、投資して撤収した中国企業300以上を対象に調査した結果について報告した。

[以下はノーランド研究委員とのインタビューの内容]

- 北朝鮮に進出した中国の企業を調査したと聞いた。調査の目的と結果は何か?

「今回の調査の目的は、中国と北朝鮮の間の経済統合がどのように行われているのかを研究することだった。そのため、北朝鮮に投資して進出した中国の企業300以上に対してアンケート調査を実施し、現在、調査のデータを分析中だ。このうち、50以上が北朝鮮で利益を出すことができずに撤収したという。

調査の対象になった企業のうち、87%が北朝鮮で事業をする際に一番大変だった点として、携帯電話の使用の禁止をあげた。また79%は、北朝鮮政府の独断的な法の執行や法規の交代が不満だったと答えた。それ以外には、貧弱なインフラや過度の規制が不満な点として指摘された。興味深いのは、労働者の質に対する不満が一番少なかったということだ。

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また、企業のほとんどが紛争を解決する手続きがしっかりしていないことに不満を持っていた。中国の企業家は事業をする際、非常に用心深く疑うことも多い。特に、北朝鮮の事業相手に対する不信感もあり、手形の代わりにドルや人民元で現金取り引きをすることを原則にしている。また、北朝鮮に進出した中国の企業は投資のリスクが非常に高いと評価しているが、これは投資資産が北朝鮮政権に没収される可能性があるためだ。そのため、多くの企業が設備投資よりも単純な貿易に投資していることがわかった」

- WFPやFAOなど、国連傘下の国際機関が北朝鮮の食糧不足を誇張していると主張したが、そのように考える理由は?

「北朝鮮の食糧不足に対する私たちの推定と、国際機関の推定が異なる理由がいくつかある。まず、食料農業機関(FAO)は、食糧生産に関する北朝鮮の公式な統計に基づいているが、私たちはこれを信じていない。また、国連機関は北朝鮮の住民の栄養摂取で穀物の比重を20%程度過大評価している。

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私たちが下した結論は、こうした国連機関の分析は受け入れにくいというものだ。国連は12年間のうち10年にわたって、毎年厳しい食糧不足になると予測したが、実際には90年代半ば以後、大量餓死は発生しなかった。(国連の)現在、160万トンの食糧が不足しているという主張も受け入れにくい」

- 国連の推定よりは少ないが、北朝鮮の食糧不足は相変らず続くと予想している。その理由は?

「私たちは北朝鮮で食用や家畜の飼料、種子として必要な食糧と、生産後に損失する量まで含めて、1年で約400万トンの食糧が必要だと推定している。

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北朝鮮で食糧不足が続く理由は、食糧の輸入を十分にしていないからだ。北朝鮮で消費される食糧の多くは、国内で生産されている。その次に、外国からの支援があり、3番目の外国からの輸入の量は多くない。北朝鮮は韓国や中国、日本のように工業や鉱業、サービス生産品を輸出して、外貨を稼いで穀物を買うのが妥当だ。こうした周辺国はみな、外貨を稼いでアルゼンチンやオーストラリア、カナダなどから穀物を輸入している。北朝鮮もこのようにしなければならない。

したがって北朝鮮経済の最大の問題は、貧弱な工業生産力と、北朝鮮政権が穀物の輸入に外貨を投入することをはばかっているという点だ。

これを解決するためには、北朝鮮は他の部分に転用されている外貨を、より多くの穀物を輸入するために使わなければならない。また、改革開放と工業の発展、外貨の増加、穀物の輸入の増加という循環をはからなければならない」

- 李明博政府の対北政策の方向は、どのように評価するか?

「人道支援は無条件で、経済開発支援は条件を付ける基本的な処理方法は正しい」

- 先月、開城工団を訪問なさったが、どのような印象を受けたか?

「2つある。開城工団の工場と韓国の工場は、ほとんど差がなかった。だが、北朝鮮の他の地域の工場と比べたら、非常に良い条件が整っている。私が北朝鮮の労働者ならば、開城で働きたいと思うだろう。また、こうした工業地域は世界各地にあるが、経済学者の研究によれば、公団が投資者や地域経済全てに肯定的な影響を及ぼすためには、後方との連携(backward linkage)がなければならない。

つまり、地域経済との連携がなければならない。地域の下請業社が、開城工業団地の下請けを引き受けなければならないが、現在北朝鮮は、開城工団の道路を作るために必要な砂利だけを供給している。衣類工場などの場合、投資者と北朝鮮経済全てに大きな影響を与える可能性がある。そのためには纎維やボタン、糸などを北朝鮮側で供給しなければならない。しかし現在、北朝鮮はこうした材料を量的にも質的にも供給することができず、韓国の企業が望む速度で生産することもできない。つまり、現在開城工団は韓国の投資者や北朝鮮経済にとって、最大の効率性を発揮することができていない」

- 開城工団の望ましい未来は何か?

「韓国の対北経済協力は、北朝鮮経済の変化を目標にしなければならない。そのために韓国は開城や金剛山などの経済区域を増やさなければならない。もちろん、開城工団をどのように拡大するのかについては、政治的な問題がある。だが、経済的な問題を見れば、こうした波及効果が一層増えることが望ましい。開城工団は北朝鮮の真ん中で孤立するのではなく、北朝鮮経済の一部にならなければいけない」

- 最近北朝鮮は、開城工団を中断させると脅迫しているが…

「北朝鮮がどのように出るかと予想したことはない。だが、開城工団を閉鎖するという脅しは2つの側面から愚かだ。第一に、開城工団は北朝鮮にとって利益になる。自分に利益になることを閉鎖すると脅すのは、賢いとは言えない。次にこうした脅迫が実行されず、また実行する意図がないとしても、愚かな行動だ。なぜならば、韓国の投資家はこのように脅されたら、投資を増やすどころかむしろ事業を撤収しようと思うだろうからだ」

- アメリカのオバマ政府は、どのような対北政策をとると考えるか?

「現在の政策が相当持続される(considerable continuity)と思われる。ブッシュ大統領は在任期間中に、北朝鮮政策を急激に強硬に交渉の方向に変えた。この変化は民主党の支持を受けた。ブッシュ大統領の政策の変化に対する批判はむしろ共和党から出た。オバマ次期大統領は、ブッシュ大統領が北朝鮮をテロ支援国から除去することを支持した。したがって、ブッシュ大統領の現政策が続くと見られる。

だが、韓国の多くの人がオバマ氏を一方的な鳩派と誤解している。オバマ氏はアメリカの目標は完全で、検証可能な北朝鮮の非核化ということを明らかにしてきた。もし北朝鮮がこうした非核化プログラムに従わなければ、アメリカは他の国と共に新しい制裁措置を取るだろう。したがって、オバマ氏が宥和一辺倒になると思うのは誤解だ。

また、オバマ氏が金正日とも会えると言ったことに対しても誤解がある。オバマ氏は非常に控え目で、自制的な人だ。したがって、オバマ-金正日会談が実現する可能性はしばらくない。オバマ氏は決して無邪気ではないし、急がないだろう」

- 今後、北朝鮮はどのような経済政策をとらなければならないと思うか?

「私は金正日政権の内政は、極度に不安な状態だと評価している。金正日の現在の健康状態のことは分からない。だが、金正日がいつかは死ぬという事実ははっきりと言える。権威主義的な体制は、指導者の交代に非常に弱い。特に、金正日以後の北朝鮮は深刻な挑戦に直面するだろう。

基本的に、北朝鮮は政治的安定を核兵器からではなく、周辺国との関係改善を通じて達成しなければならない。もし北朝鮮が核兵器を放棄すれば、アメリカや韓国、日本などが北朝鮮の国際社会への進出を助けるだろう。現在、北朝鮮は小さくて孤立した国だ。中国経済の発展や日本、韓国の発展した姿を勘案する時、北朝鮮は成長するための大きな潜在力を持っている。だが、北朝鮮経済が成長することができないのは、こうした周辺国の経済と交流がないからだ。北朝鮮が周辺国との経済協力を追い求めれば、より多くの繁栄がもたらされるだろう」