統一研究院(院長ソ・ジェジン)は5日、オバマ氏がアメリカ次期大統領として当選が確定した直後、アメリカの次期政権の朝鮮半島政策及び北朝鮮の核問題に関する分析を出した。

統一研究院は「オバマ政権は北朝鮮と対話をするという態度を取っているが、核廃棄の過程では、強力な検証手続きを推進する。交渉による核廃棄が難しいと判断すれば、強力に圧迫する可能性が高い」と予想した。

人権問題でも「ブッシュ政権の場合、人権問題が北朝鮮の核問題のために2次的問題になったが、人権を重視する民主党が執権したら、人権問題が浮き彫りになる。特に米朝関係正常化の過程で、人権問題が主な議題として浮上する」と説明した。

オバマ政権の発足に対する北朝鮮の反応については、「せっかちになった金正日が国内の安定に力を注ぎ、後継告}を安定化させるために米朝関係の改善を急ぐ可能性がある。しかし、北朝鮮が核廃棄という戦略的決断を下さない限り米朝関係改善の道は遠い」と予想した。

▲ オバマ政権の北朝鮮の核に対する政策(統一政策研究室チョン・ソンフン選任研究委員)

オバマ政権の北朝鮮の核問題に関する政策は、まず検証を可能とし、完全な核廃棄を実現するというものだ。次は6カ国協議の枠を維持しながらも米朝2国間の話し合いを進めていくという狙いだ。北朝鮮が応じれば、オバマ政権の任期以内に平壌とワシントンに常駐連絡事務所が設けられ、外務省と国務省の次・長官を代表とする連絡チャンネルができる可能性もある。

しかし、民主党関係者の中には、クリントン政権が締結した「ジュネーブ基本合意文」が廃棄されたことによって、これ以上北朝鮮に騙されてはいけないという認識を持っている人が多い。そのため、北朝鮮政権への漠然とした幻想や安易な見方ではなく冷徹な判断と経験を基に対北交渉を進めていくと思われる。

北朝鮮の合意違反の前歴をよく知っているオバマ政権は、核廃棄の交渉過程で強力な検証プロセスを求めると見られる。ブッシュ政権がテロ支援国家指定解除の対価で北朝鮮から約束された検証関連合意よりさらに強力な検証が進められると思う。

また、北朝鮮の交渉戦略がすでに全部露出されている状態で、アメリカも長く我慢することはないと思う。交渉で北朝鮮の核廃棄が難しいと判断したら、これまでとは違う強力なプレッシャーを北朝鮮にかける可能性が高い。第1次北朝鮮核危機が起きた1994年に寧辺の核施設を攻撃しようとしたクリントン前大統領と、2004年大統領選挙戦で交渉がうまく行かなかったら武力を使用すると主張したジョン・キャリー候補がみな民主党出身だということを思い出す必要がある。

▲ オバマ政権の北朝鮮人権政策について(北朝鮮人権研究センター、キム・スアム研究委員)

オバマ政権もブッシュ政権のように北朝鮮体制や最高統治者の道徳性が欠けていることについては同じ意見だと思われる。しかし、オバマ政権は北朝鮮との政府高官会談の可能性を排除していないため、北朝鮮体制とその指導者を話し合いの相手として認め、北朝鮮政府の認識や政策の変化を誘導する方向に対北人権政策を持って行くと思われる。

オバマ政権は核の検証と廃棄の段階で、米朝関係正常化についての議論が具体的に進められ、北朝鮮の人権問題を公式な議題として掲げる可能性が高い。特に、米朝関係正常化の過程で政治犯収容所、公開処刑など人権改善に対する可視的措置とあわせて、人権についての話し合いの開催が求められると思う。

オバマ政権の対北人権政策は、2008年に新しく採択された「北朝鮮人権再承認法案」を中心に具体化されていく。

また、国内の法律により、様々な人権関連の報告書を通じて、北朝鮮の人権問題を公論化させていくと思われる。特に、北朝鮮体制の特性を考慮すると、宗教の自由も期待しがたいため、オバマ政権でも北朝鮮を宗教の自由への特別関心対象国として指定すると見られる。それ以外にも、人権侵害と制裁をリンクさせる政策が設けられると思う。

▲ オバマ政権発足後の米朝関係について(北朝鮮研究室のチェ・ジンウク室長)

オバマ政権の発足は北朝鮮としては不確実な対内外の情勢を早く安定させ、総体的な危機から脱出できる最後のチャンスになりそうだ。さらに、金正日の健康悪化説を考慮すると、せっかちになった金正日が内部の安定を計り、後継体制を構築させるために米朝関係の改善を急ぐ可能性もある。北朝鮮が核廃棄に対する戦略的決断を下したら、米朝関係の正常化が早く進むと思われる。

しかし、北朝鮮が核廃棄に対して戦略的決断を下さないのであれば、オバマ政権の積極的な包容政策はむしろ北朝鮮にとって重荷になる。北朝鮮にとって最も急がれる目標は、金正日の健康快復で内部結束を図ることだ。そのため、積極的な対外政策よりは消極的な対応策を維持する可能性が高く、内部結束のために適切なレベルの緊張も醸成しようとする。

オバマ氏が両国の対話を強調しながら、多国間対話の重要性も認めているということも、北朝鮮としては受け入れなければならない。特に、オバマ氏は中国を敵対視するより、政治、経済、環境、安保など共通の利益のために中国と協力していくことを公言した。さらに、北朝鮮の非核化において中国の役割の重要性を強調した。

かつて、中国とアメリカの競争関係を利用し、核プログラムを開発してきた北朝鮮としては、核開発の名目を維持しにくくなると見られる。

▲ オバマ政権の朝鮮半島政策について(南北協力研究室パク・ヒョンジュン選任研究委員)

オバマ政権は北朝鮮を調べながら、その一方で何よりも日本や韓国と対北政策に関する意見を調律すると思われる。日本や韓国と意見を合わせることに失敗すれば、アメリカの北東アジアへの影響力が非常に弱まる。また、民主党政権の対北政策の基本概念となる包括的交渉というのは日本と韓国がない限り成功は不可能だ。

したがって、日本・アメリカ・韓国が対北政策で一定の妥協案を導出するしかない。対北政策を担当する高官を任命し、アメリカ政府の意見や日本・韓国の意見を合わせることに力を注ぐ。また、できれば米・日・韓の三角対北政策調整監督グループ(TCOG)を復活させようとすると思われる。

更に、オバマ政権は北朝鮮政権がアメリカや韓国を困らせる状況を絶対許せないと思う。結局オバマ政権のアメリカは、北朝鮮と密度の高い直接交渉を進めるが、日本と韓国の利益を反映すると思われる。ある時点で北朝鮮は日本や韓国とも問題を解決しなければならないと認識し始めると思う。