地中海に浮かぶ小さな島国、マルタ。人口わずか41万のEU加盟国中最も小さな国で、リゾートや格安の英語留学先として知られている。また、最近では低賃金で労働集約型産業の誘致も進んでいる。そのマルタに北朝鮮から労働者が派遣されることになり騒動になっている。

リゾート島に派遣された北朝鮮労働者

同紙は、6500人の失業者を抱えるマルタ政府が、国内の就業支援プロジェクトを立ち上げたのにもかかわらず、賃金の安さに惹かれて外国人労働者にビザを与えていると政府を批判した。

北朝鮮の労働者が派遣される工場を経営するのはレジャー・クロージング社。主にイギリス向けの高級服を製造している。親会社は中国の重慶国際経済技術合作公司という国営企業だ。昨年の売上は3500万ユーロ(約4億1500万から6億9200万円)と推定されている。

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北朝鮮労働者12人派遣を伝えるマルタの新聞「マルタ・インディペンデント」の紙面。

マルタの新聞マルタ・インディペンデントは7日の紙面で、北朝鮮からの労働者が、マルタ国内の中国企業に派遣されると報じた。

政府による「ピンはね」はEUでは違法

同社は中国人、ベトナム人従業員のパスポートを取り上げたり、賃金未払いの容疑で、マルタ当局に人身売買と労働法違反で調査を受けている状態だ。

今回、同社が雇用することにした北朝鮮労働者の数は12人。現在、就労ビザが降りるのを待っている状態だ。彼らは逃亡を図ったベトナム人従業員を代替する形になる。

北朝鮮政府は自国の安い労働力を海外に輸出している。現在、海外で働く北朝鮮の労働者は約6万5000人だ。ロシアでの森林伐採に従事するのが一般的でEUに派遣されるケースは極めて珍しい。

現在、マルタの最低賃金はEU加盟国のマルタでは最低賃金の月700ユーロ(約9万7000円)。今までのやり方通りならばその多くは労働者の手に渡らず北朝鮮政府にピンはねされる。これはEUでは違法行為となる。

北朝鮮との交流を進める団体チョソンエクスチェンジのアンドレイ・アブラハミアン代表は米の北朝鮮専門ニュースサイトのNKニュースに対して次のように語った。

「EUには『労働者に直接賃金を払う』とする規則があるが、北朝鮮政府はしない。海外で得た賃金に税金をかける国はアメリカと北朝鮮だけだ。北朝鮮が労働者の賃金をピンはねすることは間違いない」

NKニュースは親会社の中国重慶国際経済技術合作公司にコメントを求めたが、14日の時点でコメントは得られていない。

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