借金をしてでも自転車を買う

北朝鮮で、短距離運送や商売の手段として愛用されている自転車。脱北者によると、2000年代初頭の普及率は3〜4割ほどだったが、今では7割に達している。

平壌のデイリーNK内部情報筋によると、商人も消費者も自転車に乗って市場にやってくる。今では、本当に苦しい家以外はたいてい自転車を持っている。

自転車を持っている人が増えたのは、人びとの暮らし向きがよくなったからではなく意識が変わったためだと情報筋は説明した。昔はお金を貯めて自転車を買ったが、今は利子が高くてもお金を借りて自転車を買い、商売で儲けて返済するようになった。

市場経済化が進み、競争が激しくなったため、より多くの荷物をより速く運べる自転車が必需品になったということだ。

自転車で農村回り御用聞き

新義州(シニジュ)のデイリーNK内部情報筋によると、自転車を持っている商人が農民相手の商売で大儲けしているという。

自転車を持っている商人は、農村を御用聞きに回る。注文を受けた品は、都会の市場で買い入れて農民に売り渡す。現金代わりに野菜やトウモロコシを受け取ったら、市場に持っていって売るという仕組みだ。農民は、遠く離れた市場まで行く手間が省けるというわけだ。

このように、自転車の機動性が重要視されるようになり、借金をしてでも買おうとする人が増えたが、需要の高まりに伴い、値段も大きく上がった。

制裁で自転車の値段が高騰

新義州の情報筋によると、一番安い日本製の中古自転車は、去年4万北朝鮮ウォンで買えたが、今ではその倍もするという。普通のモデルなら30万北朝鮮ウォン以上、新品は70万北朝鮮ウォンはする。(1ドルは約3000北朝鮮ウォン)

北朝鮮の人は、丈夫で故障せずデザインのいい日本製の自転車を好み、8割以上が日本の中古自転車だが、貿易が途絶えて入荷しなくなってしまったため、値段が上がっているというのだ。

日本政府は、北朝鮮のミサイル発射や核実験の対応措置の一環として、北朝鮮のすべての品目の輸入を禁止している。また、2006年10月から、北朝鮮船舶の日本の港への入港禁止、人材交流の制限などの対北制裁を行っているため、日本から自転車が入ってこなくなってしまったのだ。今では、中国やカンボジアなどの貨物船を貸し切って、第3国を経由する形で輸入しているようだ。