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咸鏡北道で企業所の党書記が「独り言」で保衛部に逮捕されたとデイリーNKジャパンの内部情報筋が6日、伝えた。

事件は約2万4000人が働く咸鏡北道の茂山鉱山の企業所で起きた。茂山鉱山には約6つの部門別「職場」があるが、企業所では毎年末に労働党中央党から配られる「講演提綱(※講演資料)」に基づいた講演会が行われる。

この内容に不満を持った1人の党書記が会場から出る時にひとりごちた。

「もう嘘はもうやめないと・・・」

この一言が保衛部に通報され彼は連行されてしまった。

労働党中央の「講演提綱」は現実とかけ離れすぎ

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中央党宣伝部で製作される講演資料には「幹部用」「一般民衆用」とわけられており、全国の機関や企業所に重要文書として配られる。

年末に配られる資料には「人民経済の各分野の成果」「翌年の見通しの計画」などが記述されており、これを元に企業所の党書記や支配人が講演の司会者を務めるのが一般的だ。

情報筋によると「今年度(2014年)、金正恩元帥様の指導で達成された成果が強調された。また翌年(2015年)の展望目標として『来年は人民生活の向上と、通常の配給が行われる』と記されていた」という。

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しかし、そもそも講演資料の中身が毎年のように現実と乖離しており、幹部たちの間からは不満が声が出ていた。なかには「こんなことばかり続けていると自分まで嘘つきになりかねない」と前に出ることを嫌がって部下の労働者に任せる幹部も多かった。

党書記のたった一言の「素直な感想」が連行理由になるとは皮肉としか言いようがない。

「党書記が現場で逮捕されるのは初めてだ。釈放されたという話も聞かないから、まだ調査を受けているのだろう。最悪の場合、労働鍛練隊送りになる可能性もある」

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「書記が間違ったことを言ったわけではないという声もある。この件で当該企業所とその周辺地域は、慌しくなったことから正月もまともに過ごせなかった」(内部情報筋)

北朝鮮の経済状況が好転しない根本的原因として現実と乖離した「建前主義」があるが、庶民だけでなく中間の党幹部の間でも「建前主義」への不満の声が高まっている。

デイリーNKが入手した2012年1月発刊の講演提綱
デイリーNKが独占入手した2012年1月発刊の講演提綱/本文とは関係ありません。