カレンダーは「権力の象徴」だった

市場化に伴って経済格差が広がる今の北朝鮮。新年のカレンダーすらも「経済格差」の象徴になりつつある。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は北朝鮮のカレンダー事情を次のように語る。

「年末になり市場にカレンダーが並び始めた」

「一番人気は写真や絵が入った月ごとのカレンダーと1枚のポスターになったカレンダー」

「月ごとのカレンダーは平壌にある国営出版社と民間の合弁で作られていて、市場では生産価格の2倍の値段で売られている」

北朝鮮の市場で売られているカレンダーは種類も値段も様々。一番人気は「デジタルカレンダー」で、二番目が「万年カレンダー」、その後に「月ごとのカレンダー(一般のカレンダー)」「ポスター型カレンダー」と続く。

内部情報筋によるとデジタルカレンダーは70ドル(約8400円)、万年カレンダーは8ドル(約960円)、紙のカレンダーは1.5ドル(約180円)から3ドル(約360円)、ポスター型カレンダーは国定価格の80ウォン(約1円)だ。

北朝鮮では1990年後半まで、カレンダーは幹部にしか配給されない「権力の象徴」だった。

一般住民に配給されるのは安物のポスター型カレンダーだった。しかし、2000年代初頭からカレンダーの需要が高まり、平壌にある国営の「朝鮮映画輸出入社」と個人投資家が合弁してカレンダーの大量生産を始めた。

デザインと印刷は朝鮮映画輸出入社が担当し、挿絵や写真、紙は個人投資家が調達する。個人投資家、つまり民間が製作に関わっているせいか、クオリティは年々向上していることは間違いない。

今年のヒットは「子どもカレンダー」

内部情報筋はカレンダーにも「貧富の差」が現れるとして次のように説明する。

「安いものは1ドルから高いものは70ドルと値段の差が激しい。貧しい人はカレンダーを買わないことも」

「幹部や新興富裕層は中国製のデジタルカレンダーと木のカレンダーを好む」

「一方、一般住民は、通常の紙のカレンダーを買い、お金がない家はポスター型カレンダーを購入する」

デジタルカレンダーは電池さえ入れておけばずっと使えるので毎年カレンダーを買う必要がない。万年カレンダーはウッディでアンティークな感じと重厚さが人気だ。家に遊びに来たお客に自慢もできる。

さらにお金持ちになると約200ドルを払って自分の子どもの写真がプリントされたオリジナルカレンダーを作ることもある。

一般のカレンダーでは、人気の映画俳優の写真が入った「俳優カレンダー」や子どもの写真が入った「子どもカレンダー」が上等品だ。それぞれ3ドル、2ドルで1.5ドルで買える他のカレンダーより少しだけお高い。

伝統衣装を着た女性の「美人カレンダー」、伝統食をテーマにした「食品カレンダー」、自然をテーマにした「風景画カレンダー」などがある。

「昨年のヒット商品は『俳優カレンダー』だったが、今年の売れ筋は『子どもカレンダー』だね」

「俳優の顔を見るより、未来を明るくしてくれる子どもの顔を見たがっているのかも」(内部情報筋)

カレンダーにも現れる貧富の格差。北朝鮮の人々にとって12月は、あらためて自分たちの懐事情を心配する月なのかもしれない。

北朝鮮のカレンダー
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