中朝国境地域で保衛指導員が軍需品工場の従業員を脱北させようとして逮捕された。北朝鮮当局はこれを「スパイ事件」とみなして責任者を追求する方針だ。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋はこの事件について次のように伝える。

「咸鏡北道の保衛指導員が慈江道(チャガンド)の前川(チョンチョン)郡の軍需品工場で働いている従業員から金を受け取り脱北を幇助しようとして捕まった」

「国家安全保衛部ではこの事件を「スパイ事件」と断定し、その保衛指導員と警備責任保衛指導員を対象に調査を行っている」

慈江道の前川は「28機械工場」「11号工場」「65号工場」など軍需工場が密集している地域で、北朝鮮軍需産業の心臓部だ。国家安全保衛部は、保衛指導員が軍事関連機密を持ちだそうとしたスパイ事件と見ていると見ているのだ。

「今回の事件は一般住民ではなく軍需品工場の従業員に保衛指導員、国境警備隊責任保衛員まで関与した事件なので保衛部は深刻に受け止めている」

「火の粉が飛んでくるのではないかと保衛部の幹部たちも緊張している」

「軍需工場での事件だけあって、保衛部の幹部のクビが飛ぶかもしれない」(内部情報筋)

事件発覚に伴い保衛部は非常勤務体制に入り、住民監視が主任務の「保衛小組員」(人民班長、女性同盟幹部)は住民の動向を綿密に監視している。

ところが、庶民の反応は冷淡だ。

「連中は事件で大慌てだけど、俺達は収穫で大慌てだから気にしてる暇はない」

「保衛部でろくでもない事件が続発しているのは中が腐っている証拠」

「不法越境した密輸業者を処刑しているくせに保衛指導員だからって見逃せば保衛部のメンツは丸つぶれ」

「公正中立にやるつもりなら犯人を処罰すべき」(内部情報筋)

北朝鮮は今年初めに刑法を改正して、外部との電話連絡、脱北幇助は厳罰に処すことにした。今回の事件に対してどのような処罰が下されるか注目の的だと内部情報筋は語った。