▲金正日氏、金正日氏の銅像に捧げる花輪を作っている人々/写真=労働新聞
▲金正日氏、金正日氏の銅像に捧げる花輪を作っている人々/写真=労働新聞

なけなしの財布から絞りとった総額1億4000万円

12月17日は金正日氏が死去してからちょうど3年になる日だ。

北朝鮮メディアは、明け方から住民達が金日成氏と金正日氏の銅像に献花をして参拝する様子を伝えている。

北朝鮮の人々は、無条件に銅像に造花や生花を捧げなければならない。さもなくば忠誠心が疑われかねないからだ。

ところで、北朝鮮の人々が期間中に捧げる「花」のコストはどれぐらいになるのだろうか。

北朝鮮の市場で、造花1輪は500ウォン(7円)、生花1輪はサイズに応じて1000ウォン(14円)から2000ウォン(28円)で売られている。

12月15日現在の為替レートで換算すると大きな花輪は170ドル(2万円)、小さな花輪は50〜100ドル(5500円から11000円)ドルほどだ。

北朝鮮の人口は約2400万。そこから乳幼児、高齢者、貧しくて花が買えない人を除くと、金正日の銅像に花を捧げる人は少なくとも1000万人と推定できる。

1人当たりの花の平均購入額を1000ウォン(14円)と見積もって計算すると、金正日への哀悼に使われる花の費用は100億ウォン(約10億円)に達する。

平安南道(ピョンアンナムド)の市場での米1キロの値段は5000ウォン(700円)で計算すると、2000トンの米を捨てているようなものだ。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は次のように伝える。

「金正日氏の三周忌を迎えて小学校から工場、企業所、農場に至るまでの『花を大切にする事業』(忠誠心を花で表現する行事)が行われた」

「花の購入は強制ではないが、忠誠心が評価されるので、お金がなくても生花や造花を買って哀悼の意を表した」

「組織行事は大きくはなかったが、労働党、人民軍、行政、勤労団体、大学生、小学生まで花を買って金日成氏と金正日氏の銅像に捧げて黙祷した」

「追悼行事を組織的に行わない場合は行事終了後の調査はより厳密に行われるので、花を大切にする事業は絶対に参加しなければならない」

「今回の金正日氏哀悼行事はは金正恩体制への忠誠心を問われるので昨年より緊張している」

ちなみに、金日成氏、金正日氏の銅像に捧げられる花は、市場の花売り場、個人の家、路上で売られる。金正日花、菊、サルスベリ、スズランなどの造花や生花だ。

内部情報筋は追悼用の花の事情について次のように伝える。

「市場での稼ぎで暮らす人々はなけなしのお金で生花1輪を米300グラムの値段で買う」

「新興富裕層は高価な花輪を銅像に捧げて党の信任を得る。そして、この機を利用して儲けようとする」

「市や郡の幹部も金正日氏の三年間の喪が明けた後で強化されるであろう金正恩体制に合わせて大きな花輪を作って哀悼する。人民委員会の予算で大きな花輪を市場で購入し、次の給料から花代が天引きされる」

「哀悼期間に売られている造花は、庶民が市場で買った紙と絵の具で作って売る。生花も個人が家庭菜園にビニールハウスを作って育てて売る」

一方、北朝鮮のメディアはこの日、「全国の老若男女が限りなき懐かしさに浸り花束や花籠を抱えて偉大な将軍様の像と太陽像を訪れ、白い雪の降る首都の万寿台の丘には、花の波が止むことなく流れている」と紹介した。

また、労働新聞は当日付の紙面に「白頭山大国億万年の復活強大せよ」と題した記事を掲載し、「この国の一千万の喪に服する者達よ、この日に懐かしき親の前に立ちなさい」と報じた。