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‘金正日と北の急変事態’が正規のアジェンダになった。

最近の‘金正日事態’をどのように理解するべきだろうか?

現在、私たちの前に置かれた核心的な事実関係は2つある。まず、‘9月9日の北朝鮮政権樹立60周年の行事に金正日が参加しなかった’と確認された事実関係(confirmed fact)があり、次に金正日が参加しなかった理由は健康異常のためで、“金正日が脳出血で手術を受け、現在回復中”という国家情報院長の国会報告がある。

1つ目は朝鮮中央テレビの画面を通じて確認され、キム・ソンz国情院長の報告の内容も物証(hard evidence)を提示することはできなかったが、多くの情報と情況を勘案すればかなり信頼性がある。その後に続いた各種の分析や解説、主張、未来の展望などはもっともらしく見えるが、とにかく実体がなく、今後‘時間をかけて見なければならない問題’だ。

だが、今回確認された金正日の健康異常は非常に重要な意味を持つ。早い話が、北朝鮮問題に関する‘局面’が変わったのだ。古代ギリシアの4幕5章の演劇に例えれば、‘金正日が政権樹立60周年行事に参加せず、健康異常が確認された’という一文で、北朝鮮問題は第3幕が終わり、第4幕に移ることになった。

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これまで金正日の健康問題は主に‘説’が多かった。健康に異常があったとしても確認されていなかったため、‘うわさ’に止まっていた。だが、eうわさの状況’と‘実際の状況’には非常に大きな差がある。例えば、自分が癌にかかったが、その事実を知らずに生活する時と、専門医によって癌と診断されて、客観的な事実として確認された後では、その人の人生観、生きて行く目標、生活の方法がすべて変わる。金正日の健康異常による‘北朝鮮問題’もこれと似た共通点がある。どうしてそうなのだろうか?

普通、‘北朝鮮問題’と言うと 1)核問題 2)改革開放問題 3)食糧問題 4)人権問題 5)朝鮮半島(北東アジア)平和体制問題 6)平和統一問題が主なアジェンダ(agenda)になる。

これまでこれらの項目で、‘金正日に何かが起きた時と北の急変事態’は正規のアジェンダではなく、不正規のアジェンダ、すなわち‘定数’ではなく‘変数’だと評価されてきた。言い換えれば、金正日に何かが起きることは、‘将来いつ来るかも知れない’不透明なアジェンダだったが、それが‘今後必ず扱わなければならない’アジェンダになってしまったのである。

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こうした事実は韓国、アメリカ、中国、日本、ロシアなど北朝鮮の周辺国にとって重要な意味を持つ。

特に韓国ではこの10年間、金正日に何かが起きることや北の急変事態に言及すれば、‘南北関係を梗塞させる’、‘北朝鮮を刺激する’など、非常に奇怪な論理が横行した。こうした中で‘北の急変事態に言及する人たちは専門家ではなくて極右保守’という、まことに笑えないいかがわしい主張のため、完全にこんがらがった対北政策を、基礎工事から新たにしなければならない、辛く困難な状況に直面することになった。

また、主に北朝鮮の核問題の解決にとらわれすぎたアメリカや、脱北者問題と核問題が主要な事案だった中国、核と拉致被害者が重要だった日本も、これからは‘金正日と北朝鮮の急変事態’に一層具体的に備えなければならないだろう。これらの国でも、金正日に何かが起こることが‘潜んでいる問題’でなく、‘懸案’として浮上するようになったのだ。

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それでは、‘金正日と北の急変事態’が正規のアジェンダになったら、何が変わるのだろうか?

例えば、韓国政府は北の急変事態に関する検証と対策準備に着手しなければならない。青瓦台や総理室、国防省(韓米連合司令部)、国情院、外交部などが関連業務を開始しなければならない。大統領が開く国務会議、首席秘書官会議で点検アジェンダになる。

こうした状況の中、他の分野も余波を受けるだろう。対北政策の優先順位に変化が生じ、急ぐ必要のない経済協力問題や南北交流分野などは、時には優先順位から外れて、金正日の健康異常の程度や北朝鮮内部の動向の観察と分析という分野で、更に業務が増えるようになるだろう。もう少し時間が経てば、こうした変化は究極的に南北の統一方法の問題など、北朝鮮問題をめぐるあらゆる分野で根本的かつ全面的な点検が推進される可能性もある。社会的にも、これに対する関心と議論が増えるだろう。

程度の差はあるが、アメリカや日本、中国、ロシアなどの周辺国では‘朝鮮半島問題’、‘東北アジアの安保環境問題’に対する政策に変化が生じる。同時に、韓米中日露などでは国際協力の分野で‘北の急変事態の時にどう解決するか’という重大な国際アジェンダが浮上し、韓米中日露間の水面の上や水面下の関係に影響を及ぼすだろう。今まさに、私たちの目には見えないが、そうした点から演劇の幕が変わったといえる。

だが、これよりも大きく幕が変わる所はやはり北朝鮮内部だろう。金泳南最高人民会議常任委員長が、いくら金正日の健康には‘問題はない’と言っても、政権樹立60周年に金正日が現われないことは‘深刻な健康異常’以外の説明を探すのが困難だ。

北朝鮮の内部では‘指導者同志’の健康が実際に悪くても、その事実が外部で報道されるなど、客観化されて公開される時と公開されない時とでは大きな差がある。全体主義首領独裁社会では、首領(=‘将軍様’が代理)の空白はすなわち‘国家の空白’を意味する。

もし今、金正日に意識があり、長期間病床につかなければならない状況であれば、病床で自分の指示を受けて下す‘言葉の使い走り’を誰にし、もしその使い走りが信用できなかったら彼を監視して牽制する人を誰にし、その使い走りをどれくらい使って、いつ頃取り替えた方がよいかということも考えるだろう。

誰になるかは分からないが、もしその‘言葉の使い走り’が‘権力を代りに行使するような’態度を見せた場合、それもやはり長続きはしないだろう。そうした点を非常によく知っている人が‘言葉の使い走り’になるはずであり、金正日も自らの権力に取って代りにくい人を‘言葉の使い走り’として使おうとするだろう。したがって、金正日が指示を下すことができる状況であれば、しばらくの間、北朝鮮内部に大きな変動はないだろう。

金正日は30年以上独裁体系を強化し続けてきたため、この方面では堂に入った人だ。どの部分を掴んでいれば独裁体系で漏水が生じないかということもよく知っている。また、党や軍のエリートに対する監視と統制、賞と罰をより強化する方法がある。どうしても‘罰’が一層ひどくなるだろう。こうした中、金正日は極秘裏に家族や親戚、最側近たちを中心に後継者を決める過程に入るだろう。

しかし、この期間が非常に長くなった場合も、金正日体制が果たして‘不安の中の安定’を維持することができるかどうかは疑問だ。安定した後継者体制に入ることができずに、金正日が継続して、あるいは一定の時間を経て床につかなければならない場合だ。

北朝鮮の現代史を思い切って大きく分けたら、‘90年代の食糧難以前の北朝鮮’と‘食糧難以後の北朝鮮’に分けることができる。多少無謀な分類方法だが、政治思想の変化や生活方法の変化(配給の縮小/市場の拡大)、権力国「の変化(先軍)、全社会的な貧困、不正腐敗、人民の生活方法の変化、考え方の変化、北朝鮮政権の不利な対外関係等を勘案すれば、一理ないわけではない。

90年代以後の北朝鮮は、特に外部の情報(中国や韓国)がたくさん流入し、外部に対する住民の関心が増した。また、党が解決してくれる生活から各自自分で考えて暮らさなければならない生活に変わった。90年代以前と比べると、非常に大きな変化だった。生活の方法も外部(中国)との接触を通じるやり方が更に増えた。

今後、金正日の健康に問題があるといううわさが北朝鮮内部で広まらないはずはない。今は携帯電話があるため、北朝鮮の内部でニュースが伝わる速度も非常に早い。今は北朝鮮の内部で起こったことを長期間隠すのも困難だ。金正日の健康異常のことを権力の内部はもちろん、一般の住民も知るようになれば、現体制の変化を一層望むだろう。

また、金正日を核(core)にして、外側で同心円を形成する家族や親戚、側近、党や軍、内閣の主要人物、基本階層という国「の内部で亀裂と葛藤、重大な変化が生じる可能性がある。だが、急激な変化よりはゆっくりと累積した変化が見られるだろう。しかしこの過程で、金正日が核の放棄や開放などの画期的な決断を下すことは一層難しくなるはずで、‘自身の防御’にとらわれすぎる可能性がより高まる。もちろん、‘集団指導体制’は予想するのも困難だ。

そして非常に重要な事実が1つある。これからは、‘時間はこれ以上金正日の側にはない’という事実だ。この動かせない‘物理的真理’が金正日を倒すだろう。これまで時間はいつも‘終身職の首領’である金正日の側についていた。任期がある韓国やアメリカ政府は、限りなく増える金正日の遅攻戦術の前では無力だった。

だが、金正日も時間に追われるようになるだろう。攻守が変わるのだ。実際にはかなり前から攻守を変えることができた南北関係は、今後確実に‘甲’と‘乙’の位置が変わることになるだろう。おそらく、こうしたことを‘運’と言うのだろう。

これから韓国政府がすべきことは、‘北朝鮮の未来’、‘朝鮮半島の未来’、‘北東アジアの未来’をめぐる韓国とアメリカ、中国の協力関係をどのように構築するのか考えることだろう。専門家たちはこの分野で非常に現実的でスマートな解決方案を見つけなければならない。

専門家の宿題が一層明確になったのである。