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金正日総書記(66)が脳卒中で倒れたことが事実と判明してから、世界中で金正日総書記以後の北朝鮮の「後継体制」に関心が集まっている。果たして3代続いての親子後継体制になるのか、軍部集団体制になるのか、注目されている。

軍部集団体制の可能性が浮上した背景には、北朝鮮を「一つの国家」として認めるという認識がある。しかし、北朝鮮は国家というよりも故金日成主席と金正日総書記の個人的な所有物に近いのが現状だ。こうした視点から金正日総書記以後、どういう体制になるのかという議論の答えが見えてくる。

北朝鮮では領土はもちろん、工場、企業、公共建造物などの施設、そして政治や経済制度、さらに人民までも故金日成主席と金正日総書記親子が自分の思う通りにコントロールしてきた。「国家のもの」「人民のもの」と、口ではそう唱えてきたが、事実上、北朝鮮の全ては 金正日総書記とその一族が握っている。

マルクスの唯物史観の観点から見ると、北朝鮮は古代の奴隷制社会のレベルだと言えよう。また、 故金日成主席と金正日総書記親子やその一族と人民の関係は「奴隷主と奴隷の関係」であると思われる。今は、自発的に市場もでき、以前とは状況が少し変わってきたとも言われているが、少なくとも70年代以後の北朝鮮は 故金日成主席と金正日総書記親子の「個人財産」と同じだ。

こうしたことを踏まえて、北朝鮮は歴史に出てくる王朝時代のように「親子受け継ぎ」の可能性が高いと言える。つまり、金正日総書記の意識がある限り、軍部や他の集団に北朝鮮という「財産」を渡すことはないだろう。

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軍部は労働党を乗り越えられるのか。

「軍部集団体制」の可能性が浮上した背景には、極端な状況では武力で比較的容易に権力を掌握することができるため、軍部の上層部がなんらかの動きを見せるのではないかという認識がある。金正日総書記の独創的な政治方式である「先軍政治」がこうした論理を裏付けている主な根拠だと言える。

しかし、軍部は 金正日総書記の統治手段にすぎず、金正日総書記の北朝鮮を動かすコアではない。
北朝鮮の政治の主体は、労働党である。党員でなければ幹部にはなれず、いくら強い力を持っている人物でも、その後ろには党の秘書がいて徹底的に監視される。

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国防委員会や軍の防衛司令部が地方の労働党を検閲する権限さえもないということから北朝鮮での労働党の権力の大きさがわかる。

昨年から労働党中央委員会組織の指導部、張成沢第1副部長が労働党行政部の事業まで担当することになり、人民保安省の権限がさらに強化され、保安員らが直接軍人の車や品物を検閲することができるようになった。さらに、軍部の将校の家を検閲することまでも可能になった。

金正日総書記が国防委員長であることから、一部では国防委員会を朝鮮労働党と同じレベルの権限を持っている組織だと見ている者もいる。しかし、国防委員会の地位が高くなったことは事実だが、最高議決機高ニしての権限は持ってはいない。 金正日総書記のいない国防委員会は労働党傘下の一組織にすぎないのである。

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また、労働党を統制するために軍部が武力を使用するというのは想像できない。もし、国防委員会が軍隊を使ってクーデターを起こそうとしても、 金正日総書記の一族や労働党の庁舎に攻撃ができる将校や兵士はいないだろう。

軍部集団体制にはなれないもう一つの理由は、 金正日総書記の一族に張り合うだけの権力を持つ労働党の大物らが、国防委員会の職位を持っていないことも挙げられる。

後継情報を得るためには護衛総局に目を向けろ

メディアは北朝鮮軍部の動きに焦点を合わせているが、北朝鮮の軍部をコントロールできる金正日総書記の個人警護部隊である「護衛総局」には目を向けていない。

平壌市を中心に全国にある金正日総書記の別荘周辺にある護衛総局は国家保衛部、人民保安省と共に金正日総書記の安全に関連し、軍部の主な実力者たちを徹底的に監視している。

そのため、もしもの時、軍部の実力者に権力争奪の動きやクーデターの可能性が見られた時は、当事者はもちろんその家族まで護衛総局によって直ちに処刑されてしまうだろう。

金正日総書記は国境警備隊、常設人民保衛隊、労農赤衛隊の傘下のゴサ砲部隊などを人民武力部に所属させず、労働党と人民保安省が直接統制下におくシステムを構築した。また、北朝鮮の民防衛(民間で行う非軍事的な防衛)体制は、労働党の民防衛部が直接管理にあたっており、最も迅速に動員や武装ができるようになっている。

北朝鮮が金正日総書記とその一族の「不可侵の財産」であるため、金正日総書記以後、集団体制になる可能性は大変低いと思われる。

では、金正日総書記の後を継ぐ後継者は誰になるのか。その情報を探り出すためには、今から護衛総局に目を向けなければならないのである。