韓国とアメリカは北朝鮮の高濃縮ウラン(HEU)プログラムも、‘2・13北京合意’による核プログラムの申告リストに含めなければならないという立場を示しており、HEU問題が今後の6ヶ国協議の合意の履行にとって最大の障害物として浮上しそうだ。
去る13日、北京の6ヶ国協議で最終合意を導き出す過程で、アメリカはHEU問題を明示しようとしたが、北朝鮮側の強い反発で最終合意文からは削除されたと伝えられた。これにより、6ヶ国協議の参加国は最終合意文にプルトニウムの申告は銘記したが、HEUプログラムの申告については盛り込むことができなかった。
2002年10月、ジェイムズ・ケリー米国務省次官補の訪朝当時、北朝鮮側によるHEUの存在を認めるかのような発言が、‘第2次北朝鮮核危機’の口火となったかと思われた。しかし、北朝鮮はその後“ケリー次官補が私たちをあまりに引き寄せようとしたため、気分を害して‘既存の核プログラムよりも強力なものを持っている’と言っただけである”と言い訳した。
アメリカをはじめとする国際社会はこの間、難しい精製過程を経て作られるプルトニウムと異なり、HEUは関連資材さえ確保すれば、核兵器の製造が容易であるという点を憂慮してきた。また、遠心分離機を小規模な秘密の施設に設置することで、核兵器を作ることができるHEUが、原子炉と大型再処理施設が必要なプルトニウムより隠匿性が優れているという指摘がある。
したがってアメリカは今回の2・13合意によって、全てのHEUプログラムを申告しなければならないという立場だ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮は2003年4月にドイツの会社からHEUプログラムの核心である遠心分離機製造のために、22トンの高強度アルミニウム管の購入を試みたが、フランスやドイツ、エジプトの政府に摘発された。当時、アメリカの情報当局は北朝鮮とパキスタンの核の密売を証明する領収証を確保したと伝えられた。
またアメリカは2002年7月末に北朝鮮が1990年頃から秘密裏にウラン濃縮方式の核兵器開発を推進しているという確固とした情報(solid intelligence)をパキスタンから獲得したとも伝えられた。
核技術の密売が疑われているパキスタンのアブドル・カデル・カーン博士は、2004年4月にパキスタン政府の審問を受ける過程で、“1990年代末に、本格的にウラン濃縮関連装備と技術を北朝鮮に渡した”と語っている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面更に、ファン・ジャンヨプ前北朝鮮労働党書記も、対北短波放送を通じて、“1996年の秋頃に、チョン・ビョンホ軍需工業担当書記が私に‘パキスタンと秘密の協定を結び、濃縮ウラン技術で核兵器を開発することにした’と語った”と証言している。
したがってアメリカは6ヶ国協議の目標は朝鮮半島の非核化でなければならず、これにはHEUも必ず含まれなければならないという立場を固守している。
これは‘完全かつ検証可能で、戻ることができない核廃棄(CVID)’という用語を使い、HEUに対する確かな検証がなければならないというアメリカの意志を反映している。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面しかし北朝鮮はこの間、HEUプログラムの存在を否認してきた。6ヶ国協議の北朝鮮側の首席代表である金桂冠外務省次官は13日に妥結された6ヶ国協議で、“HEUプログラムは存在せず、これからそれを立証する”と明らかにしたと伝えられた。
こうした中、キム・マンボク国情院長が20日、国会の情報委員会に出席して、“北朝鮮がHEUプログラムを持っている”と明らかにした。HEUに対する真実の攻防は一層激しくなると思われる。
これによって韓国やアメリカなどは、北朝鮮が4月13日までに提出する‘核兵器開発活動報告書’にプルトニウムとともにHEUプログラムも当然含まれなければならないと強調している。
6ヶ国協議の韓国側首席代表である千英宇朝鮮半島平和交渉本部長は16日、“合意文に書かれた‘全ての核プログラム’はプルトニウムとHEUプログラムを包括する”と述べ、“北朝鮮はHEUプログラムも申告しなければならない”と語った。
しかし北朝鮮がHEUの存在自体を最後まで否認する場合、アメリカは北朝鮮がパキスタンから持ちこんだ遠心分離機に対する証拠を提示することもできる。もしこのようになったら、米朝両国間の葛藤は火を見るよりも明らかだ。北朝鮮がアメリカが提示した証拠を素直に認める可能性は少ない。むしろアメリカが対北敵視政策を放棄していないと、6ヶ国協議の雰囲気を壊す可能性を排除することはできない。
これに対して訪韓中のウイリアム・ペリー前米国防相は20日、“北朝鮮が結局HEU問題を認めない場合、6ヶ国協議を御破算にすることもできる”と言い、“HEU問題が今後、6ヶ国協議の交渉の決裂の要素として登場する可能性がある”と述べた。
したがって、‘2・13合意’に対する政府の未熟な楽観論は警戒する必要がある。むしろ“北朝鮮が合意を履行しないで時間を引きのばしながら、アメリカをもてあそぶ可能性がある”というペリー前長官の指摘をじっくりと考える必要がある。
結局、HEU問題に対する接近方法が、今後の北朝鮮の核の6ヶ国協議の勝敗を見分ける‘リトマス紙’になるはずだというのが大多数の専門家の指摘である。