金正日が最近、「国防委員会命令」として北朝鮮国内で運行中の全ての日本製の自動車の回収を指示したと伝えられ、その真偽が注目されている。

聯合ニュースは19日、対北消息筋の話を引用し、「金正日総書記が今年の1月1日に錦繍山記念宮殿を参拜して出てきた後、道を塞いでいる故障した日本製の車を目撃して、回収令を下した」と伝えた。

これを受けて北朝鮮政府は、金正日が映画俳優や体育人らに贈ったものや、人民保安省、軍の工兵局など一部の機関が所有するものを除き、すべての日本車の使用禁止および回収措置を取ったという。

しかし、金正日のこのような指示の徹底が、交通手段が絶対的に不足している北朝鮮で現実的に可能かは疑問だ。

このため最近、「金正日の指示」というのは、北朝鮮に横行する不法自動車の登録と係わった、内部取り締まりを意味するものであるとの見方も出ている。

北朝鮮は現在、少数の高位層の幹部たちだけがベンツを使用でき、大多数の中間層の幹部たちは日本製の車を使っている。これに、日本に親戚がいる在日朝鮮人帰国者まで加えると、その数は相当なものになる。とくに1990年代の初めに始まった中国との日本製中古自動車の密貿易は、安価な日本製の中古車を大量に普及させた。もちろん、一般の住民には高嶺の花だ。

安価な日本製の中古自動車は今、北朝鮮の貿易業者たちが愛用している。事実上、国内で稼働している乗用車の大部分が日本製と言っても過言ではない。

中国の丹東に駐在している北朝鮮の貿易業者H氏は20日、デイリーNKの電話取材に対し「今は電力事情のため列車より乗用車で国境地域と地方に出張しているが、日本製の乗用車を全て回収してしまったら何に乗れというのか」と話した。

彼は2月の初めにも新義州で日産の自動車を利用したと言い、金正日が1月1日から日本製の自動車の全面使用禁止令を下したということは、真偽のほどは別にして実現する可能性はほとんどないと語った。

また彼は、不法マイカーに対する制裁措置の可能性について注意深く話した。

彼によると、お金がある人々が機関の企業所で登録してもらって密かに使う不法乗用車が多いという。国に税金を納めずに企業所名義のナンバープレートをつけて、企業所側はナンバープレートを与えた対価として密かにお金をもらう構図だ。企業所名義のナンバープレートを付けていれば、通行証を得やすく、貿易にもかなり役に立つ。北朝鮮政府がこれを禁止したのではないかと彼は推測した。

H氏はまた、最近対北経済制裁で日本が先頭に立っている点を金正日が不満に思った可能性もあると付け加えた。

北朝鮮は80年代にロシア製のボルガ乗用車とルーマニア制のダッチア乗用車を各市、郡(区域)の責任書記や師団長級の人たちに支給した。しかし、90年代の初めの東欧圏の没落によって部品の供給が滞り、ボルガとダッチアは大部分廃棄されるか、使いものにならなくなった。

これにより、90年代の半ばから日本の中古車を1台当たり500?3000ドルで日本製の中古乗用車を大量に購入し、中国に密輸して儲けた上、一部は国内で供給した。現在お金がある北朝鮮の貿易業者の日本製乗用車も、大部分がこの時に購入されたものだ。