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“‘‘クロッシング’を見ながら2つの考えが浮かんだ。1つ目は‘私はこれまで、いったいどれだけ北朝鮮の住民に対して関心を持っていたのだろうか’というものだった。打ち明けると、わざとそっぽを向いていたのかも知れない。何故ならば、これまで北朝鮮の‘人権’と‘飢え’という問題はいわゆる‘朝中東’という保守のメディアがこの10年間、太陽政策を批判するために頻繁に使用してきた問題だったという点から、拒否感がかなりあったからだ”

脱北者問題を扱った映画‘クロッシング’が封切られ、社会的に脱北者問題をはじめとする北朝鮮の人権問題に対する関心が高まっている。各メディアで‘クロッシング’に関する報道が連日出ている中、代表的な進歩左派インターネット媒体‘oh my news’にも‘クロッシング’の記事が掲載された。

だが、題が目を引いた。‘私も朝中東と違わなかった’という題からは、進歩左派陣営が‘朝中東’に対して抱いている極端な嫌悪感がにじみ出ていた。この記事を作成した記者はこれまで、‘朝中東’が北朝鮮の人権問題に積極的な態度を見せたため、これに対する反感でむしろ北朝鮮の人権問題に関心を向けなかったと言っている。‘クロッシング’という映画を通じて、北朝鮮の住民の現実に対して目が開かれ、自分も‘朝中東と違わなかった’と、だいたいこのように解釈されるだろう。

‘朝中東’という‘公共の敵’の前では理性的な判断さえ麻痺してしまう左派陣営の論理に、切なさを越えた感情が湧いてきたが、ようやく北朝鮮の人権に対する関心を持ち始めたというのはよかったと感じる。

記者は“北朝鮮と係わった保守のメディアの論理が矛盾を抱えているため、自分も‘太陽政策という‘方法論’だけに埋没したまま、北朝鮮の住民の残酷な現実から顔を背ける矛盾を犯した”と述べ、“そうした意味から、映画‘クロッシング’は北朝鮮の住民の‘飢え’と‘人権’に対するこの間の私の態度を反省するきっかけをくれた”と告白している。

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“映画‘クロッシング’は、北朝鮮の住民の残酷な実態を見せてくれることで、私たちが左右理念で葛藤し、対北政策に対する路線の差に甲論乙駁している瞬間にも、北朝鮮の住民は死んで行っているという事実を語っている。映画は北朝鮮の強制労働、飢え、病気、官僚の腐敗などの現実を残酷に見せてくれることで、数叙恊lが脱北せざるを得ない状況を説得力持って描いている”

そうだ。クロッシングには誰もが否定も否認もできない北朝鮮の現実の一部が淡々と描写されている。キム・テギュン監督は北朝鮮の実態をそのまま表現することができず、実際の1/10程度だけを描いたと言っている。だが、北朝鮮の現実をそのまま描くこともできなかったというこの映像だけを見ても自然に涙が流れるほど、2008年の北朝鮮の現実は辛く痛みを感じる。

だが、実際にクロッシングを見て記事を書いたというこの記者は、全く荒唐無稽な方向で結論を下している。

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“2つ目の考えは、‘にもかかわらず’太陽政策‘だけが北朝鮮の住民が暮らす道’というものだ。結局、問題は‘飢えと病気で死んでいく北朝鮮の住民を助けてあげる道は何か’ということだ。保守のメディアと李明博政権が言う‘1つをもらえば1つあげることができる’という、いわゆる機械的な‘相互主義’や‘対北強硬論’は、既に経験によって道になることができないことが確認された。

李明博政権が対北強行論に他ならない機械的な‘相互主義’を標榜するやいなや、対北朝鮮関係は急速に冷却し、韓国は徹底的に疎外された。こうした事実だけを見ても、対北強行論は南北関係の好転はもちろん、北朝鮮の住民の生存に全く助けにならないということだ。

それでは、‘太陽政策’はどうなのか。開城工団に象徴される平和的南北経協は、北朝鮮の住民に経済活動を提供することで、彼らが生きて行ける道を開いただけでなく、軍事分界線を事実上開城の上に押し上げる役割を果たした。北朝鮮に対する食糧、医薬品など各種の支援は、北朝鮮の住民の生存にとって随分役立っている。整理すると、朝鮮半島の平和を増進させて北朝鮮の住民のためになる道は‘太陽政策’しかないということだ”

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北朝鮮の住民の‘人権と‘飢え’から意図的に顔をそむけてきた自分に対する反省で始まった文章が、‘太陽政策’に対するとりとめのない讃歌で終わっている。ここまでが韓国の社会進歩左派陣営の限界のようだ。これ以上否定することができない北朝鮮の現実は認めるが、根本的な問いに対しては最後まで回答を避けている。

なぜ‘クロッシング’の主人公であるヨンスは、韓国ではただで配る結核の薬を手に入れるために命をかけて国境を越えなければならないのか。どうしてヨンスの友達サンチョルは、聖書を家に隠しておいたという理由で夜中に家族全員が保衛部によって連行されなければならないのか。どうしてヨンスの息子ジュニは国境を越えたといって労働鍛錬隊に入れられたのか。。。

北朝鮮の住民が恐怖と飢えの中で生きていかざるを得ない原因は、首領独裁体制にある。金正日は一人支配体制を維持するために、国際社会で門を閉ざし、住民の飢餓をそのまま放置している。自国民を食べさせるために最低限の努力もしない金正日体制の矛盾には全く言及しないまま、韓国政府の対北強硬論だけを咎める態度は一体何なのだろうか。

朝鮮半島の平和を増進させて、北朝鮮の住民のためになる道は‘太陽政策’しかないという主張もいかがなものか。この10年間推進してきた‘太陽政策’の結果が、‘クロッシング’のヨンス家族の姿だ。金大中、盧武鉉政府で私たちは北朝鮮に連日‘日差し’を照らした。だがこの10年間、北朝鮮の住民の暮らしが全くよくならなかったことを私たちはこの目で見てきたのである。

たとえ結論は違っても、映画‘クロッシング’を通じて北朝鮮の人権問題から顔をそむけてきた姿を反省したという話は、喜ばしい消息に違いない。今後、この映画を通じて北朝鮮の人権問題に対して進歩左派陣営が活発に自己省察することを願うのは期待しすぎだろうか。