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北朝鮮支援モニタリングの限界…借款はかえって人道支援の制約

これまで統一省は、北に対する米の借款について多様な方法でモニタリングを続けていると説明してきた。米の借款が10万トンずつ提供される度に、北側の4〜5つの地域を現場モニタリングすることに北朝鮮と合意して、2000年と2002年にそれぞれ1回、2003年に12回、2004年に10回、2005年に20回、現場で分配を確認したという。

だが、10トン1万台分の食糧を3〜4ヶ所の供給所だけで確認することは事実上不可能で、形式的なモニタリングという批判が出ていた。モニター要員の数が非常に少なく、北朝鮮と事前に約束した所だけを訪問していて、検証には限界があるという指摘だった。

こうした指摘は国内の市民団体だけでなく、国際支援団体からも出ている。世界食糧計画(WFP)のポール・リスリー代弁人は、今年の初めに「韓国は大量の米を北朝鮮政府に提供している。どの地域の誰に、そしてどれだけの米を支援するか、また分配の過程の監視と検証はどのようにするのかについて、もう少し細密な計画を立てる必要がある」と指摘した。

韓国の対北食糧支援が借款形式であるため、どうしてもモニタリングに限界があるという主張も出ている。北朝鮮の飢餓に関する報告書を作成したカリフォルニア大学のステファン・ヘガード教授は、「韓国の支援は借款を通じた支援であるため、モニターをする権利も制約されている。借款形態で支援するのは、政治的に有利な環境を醸成することはあるが、人道支援の効果にとっては障害の要因になる」と指摘した。

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WFPは「現場への接近なしに食糧もない(No access, No food)」という原則の下、平壌に常駐職員を派遣している。全国213の郡に対して、1ヶ月に平均450回配給状況を確認し、無作為に70ヶ所を選び出して実体調査をするなど、厳しいモニタリング活動を行い、北朝鮮政府と摩擦が生じて一方的に追放された。

だが、去年国連の要請によって外部機関が実施したWFPに対する特別監査報告書は、こうしたWFPの対北食糧支援の監視活動に問題が多いと指摘するなど、WFPのモニタリングシステムにも弱点が多いと言われている。

監査報告書は、WFPが現場検証の日程を北朝鮮当局に必ず事前に知らせなければならず、調査に行っても現地の官吏の立ち会いの下で通訳を経て面談をする点などをあげて、食糧の配分の監視機関に対する憂慮を明らかにした。

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また、モニタリング団が目で分配の現場を監視したとしても、支援食糧が住民にそっくりそのまま行くわけでもない。脱北者によれば、北朝鮮政府は住民に支援団体の関係者の質問に答える言葉をあらかじめ教育させるだけでなく、前では配給を与えるが、後ろから出たらまた集めていく形で支援食糧を回収することもあると言う。

韓国や国際機関の現場の監視に対する委員会のアンケート調査の結果、回答者250人中7.2%(18人)が、実際に米をもらっていないのに当局の要求に従ってもらったと答えたことが分かった。「国連視察団に2キロずつもらったと言いなさい」などと、当局の指示を受けてそのまま答えたことがあるという。

支援食糧が配給されても、地域・階層で差別

国際社会の支援食糧が住民に配給された場合も、平壌と地方、階層の差によってその量は大きく異なる。

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2005年の統一部の資料によると、対北支援米の21.21%が平壌に、直轄市である南浦市がある平安南道には16.72%が行く一方、食糧が相対的に不足している両江道(4.57%)と江原道(5.76%)などにはより少ない量が配分されることが分かった。

また、対北朝鮮援助団体「良き友」は、北朝鮮は党の中央機関、各級の党委員会の構成員と平壌の中心区域に住む住民などを配給の第1順位、軍隊を含む軍の関連者を第2順位、特急企業所(大企業)の職員を第3順位、一般の住民を第4順位などと決めて食糧を配給していると主張した。

「良き友」は配給の第1順位の対象は100万人(人口の4%)、第2順位は約150万人(人口の6%)、第3順位は約400万人(人口の20%)、第4順位に属する住民は約600万人(人口の30%)であると見ており、配給の体系に入っていない農民階層は約800万人(40%)いると推算している。

だが、最近は配給だけで生活する住民はほとんどいないと見られるため、配給の量の差が貧富の差を示しているわけではない。また、配給をもらったら食糧を買うお金は節約できるが、職場に出勤しなければならないため商売はできなくなった。むしろ、政府による市場の取り締まりがひどくなり、北朝鮮の住民がお金をかせぐ主な手段である商売が行き詰まり、配給が住民に恩恵を与えるわけではないという、皮肉としか言いようがない結果ももたらされている。