李明博大統領が2月25日の就任の辞で、“理念のものさしではなく、実用のものさしで解決していく。‘非核、開放、3000’で明らかにしたように、北朝鮮が核を放棄して開放の道を選べば、南北協力に新しい地平が開かれるだろう”と言い、‘非核、開放、3000’を新政府の対北政策に公式に定めた。
前政府との差別化は、北朝鮮の人権問題に対する接近にもはっきりと現われている。
◆‘太陽政策’と差別化…北の人権、統一教育の変化
統一部傘下の統一教育院は、先月発行した‘統一教育の指針書’で、2回行われた南北首脳会談で合意された‘6.15宣言’と、‘10.4宣言’の限界と副作用を明確に説明して、北朝鮮の核開発による安保の脅威も強調した。これは北朝鮮問題と統一に関して客観性と中立性を維持しようとする意志であると解釈されている。
統一研究院のチョン・ヨンテ北朝鮮研究室長は、100日間の李明博政府の対北政策に対して、“李明博政府は、前政府が推進したり接近した対北接近から脱皮して、もう少し現実的で合理的な方法で調整していくという立場を取ってきた”と述べ、“南北関係の特殊性にあまりにも重点を置いた政策から脱して、外交や安保など、大きなフレームで南北関係を推進しようとした”と評価した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面高麗大学のユ・ホヨル北朝鮮学科教授は、“李明博政府は対北政策で‘非核、開放、3000’を前面に立てているが、政策に対する具体的な青写真も提示されず、戦略に対する政府レベルの調整も行われていない状態”と言い、“一言で対北政策に対するコントロールタワーがきちんと立っていない”と指摘した。
ユ教授は“‘非核、開放、3000’は北朝鮮の核放棄や開放の実施など、前向きな政策の変化が起こる時に可能で、国際的協力や基盤が整ってこそ可能な政策”と言い、“今すぐは、南北関係を李明博政府らしく再構成する作業を行わなければならないが、現在この部分に余力を傾けることができていない”と付け加えた。
また、“国連人権理事会で北朝鮮の人権の改善を求めたことは、我々の立場の表明に過ぎないため、北朝鮮の人権を積極的に改善するという意志を見せたものではない”と述べ、“北朝鮮の人権に関する機関や戦略が整っていない”と指摘した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面◆ 北 対南攻勢の開始…南北関係は膠着
北朝鮮は3月2日に統一部のキム・ハジュン長官の‘北核・経済協力’連携発言を問題視して、開城工団の南北交流協力協議事務所(経済協力事務所)に常駐していた南側の要員全員の撤収を要求した。
北朝鮮政府は経済協力事務所から南側の要員を追い出した翌日、西海上に短距離ミサイルを発射し、キム・テヨン合同参謀議長の発言を言葉尻に“あらゆる南北対話を中断する”と脅迫した。また、李明博大統領の実名をあげて‘逆徒’と指称して、新政府の‘非核、開放、3000’国zを批判するなど、2ヶ月近く対南非難攻勢を続けている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮がこのように梗塞状態を長期化させているのは、李明博政府の対北政策を試すためだと専門家たちは観測している。
チョン室長は、“北朝鮮には韓国に保守政権が入った後、‘対決戦略’を選び、絶えず韓国政権を批判して南北関係を主導しようとする側面があった”と述べ、“だが韓国政府は北朝鮮が否定的な反応を見せるからといって、既存の方針と政策を中断することはできないという原則を貫いてきた”と評価した。
李大統領は4月に訪米した時、ソウルと平壌に常設連絡事務所を開設する方案を提案して、南北関係の突破口を探ろうとしたが、北朝鮮側は“単に言葉遊びに過ぎない”と提案を拒否した。
◆ 北 食糧難でも南側に支援を要請せず
李明博政府の立場としても、牛肉の輸入や大運河、人事など国内の政治で相次いで問題が生じ、南北間の膠着状態を打開するために画期的な動きを見せる可能性は当分ないと予想される。
これについてユ教授は、“現在の内政の困難を南北問題を通じて突破しようとすることは、10年間の太陽政策よりも低級な形の対北戦略”と言い、“南北関係を私たちの国zに従って主導的に導いて行こうと思わなくてはならないのに、局面を打開するために活用しようとしたら、国内外の支持基盤を失うことになるだろう”と指摘した。
それ以外にも、北朝鮮は1990年代半ば以後最悪の食糧難であるにもかかわらず、韓国に対して食糧支援の要請をしていない。李明博政府は対北経済協力については、非核化との連携による‘段階的接近’という原則を明らかにしているが、食糧問題に関する人道的支援については転向した姿勢を見せている。
韓国は北朝鮮が核実験をした2006年を除き、毎年40~50万トンの食糧借款を提供して、北朝鮮の食糧不足を解決する役割を果たしてきた。特に、最近の北朝鮮の食糧事情は大餓死の時期以後、最も深刻であると言われている。にもかかわらず、北朝鮮は今まで韓国政府に食糧支援などについて公式なメッセージを送っていない。
これに反して、アメリカ政府は北朝鮮に対する50万トンの食糧支援計画を公式に発表して、これを北朝鮮のメディアが迅速に伝えるなど、核錐趨竭閧フ妥結をきっかけにしてアメリカの対北食糧支援は勢いに乗っている。
◆ 南北経協の小康…‘現実性’を計算して選別的推進
政府は南北経協に対して“北朝鮮の核が廃棄されてからするのではなく、(非核化の)進展によって段階的に行う。段階的に行うというのは、南北間の状況や核問題の状況、南北経協の4大原則に基づいて大規模な支援や経済協力をするということ”と明らかにしている。
実際に、第2回首脳会談で合意された事業のうち、現実化が最大であると言われていた‘南北直航路を通じた白頭山観光’も、年内の推進は難しいと伝わった。現代グループは当初、5月に白頭山観光ができると自信を示したが、南北関係が梗塞して推進が全面的に保留となった。
前政権で南北経協の象徴と宣伝してきた開城工団も、政府間の疎通の断絶で、‘3通(通信、通行、通関)’問題などの懸案の解決が遅れ、第2段階の分譲など、追加の開発については不透明だ。
チョン室長は、“第2回首脳会談で出した経済合意事項を推進するのに先立ち、韓国の経済力や現実的な部分を計算して見ようというのが現政府の立場”と言い、“既存の合意は無条件守られるべきという北朝鮮の立場と衝突が見られるため、経済協力は足踏み状態だが、新政府の路線の修正による調整期間であると見られ、長期化するわけではなさそうだ”と予想した。