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国家安保戦略研究所のチョン・クァンミン研究委員が、“北朝鮮の食糧の市場価格の上昇は、食糧の絶対的不足が深まっているという指標には必ずしもならない”と指摘した。

チョン研究委員は‘北朝鮮民主化ネットワーク’が最近発行した隔月刊機関誌‘NK vision(4~5月号)’に寄稿した、‘大衆輸入穀物価の変動と北朝鮮の市場価格の動向’という題の報告書でこのように明らかにした。

チョン研究委員は“北朝鮮の商業的穀物輸入は、中国だけから行われているため、中国から輸入される穀物の価格が、北朝鮮の市場での穀物の価格の変動に重要な意味を持つ”と語った。

また、2008年の北朝鮮の米ととうもろこしの価格の動向で最も特徴的な現象は、米ととうもろこしの価格が全て急上昇して、4月にピークに到逹し、5月に入って大幅に下落し始めたことであると分析した。

更に、“‘5月20~30万人餓死説’が登場するなど、北朝鮮の食糧事情が非常に緊迫していると報道されてきたこととは非常に対照的な価格の変化”と記述した。

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5月初めに北朝鮮の市場の穀物の価格が大幅に下落していることに対する原因については、▲外部の市場からの支援がない状態で、輸入の量が増えた▲政府(北朝鮮)の備蓄米(軍糧米)または個人が蓄えていた米が市場で売られた可能性から見られる‘市場供給量の増大’▲4月の価格上昇が異常に高く、需要が形成されずに再び下落した可能性、すなわちオーバーシューティング(overshooting,価格の過大評価による騰落現象)の可能性があると分析した。

チョン研究委員はまた、“‘市場供給量の拡大’の可能性を完全に排除することは困難だが、‘オーバーシューティング’の可能性がより高いようだ”と明らかにした。

更に、“北朝鮮の2008年月別米価は、中国の市場価格に比べて3月は1.26倍、4月は2.13倍、5月は1.55倍水準だった”と言い、“輸出原価の上昇分と営業利潤及び、その他の物流費用を加えても、中国の価格の1.27倍程度が正常の水準の価格だが、4月の北朝鮮の市場価格は異常に高い水準”と指摘した。

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北朝鮮の市場の米価が中国の輸出原価の上昇を越える価格である原因は、3月に入り、米の輸入が前の月に比べて99%減少した点(8,253t→97t)と(中朝)国境での食糧交易統制、または市場統制政策に起因したものであると明らかにした。

チョン研究委員は“北朝鮮の市場価格の上昇は、必ずしも食糧の絶対的不足が深まっているという指標にはならない”と述べ、“4月の異常な北朝鮮の市場穀物価格の上昇は、急激な食糧輸入の減少と市場統制などの要因が複合的に作用したものと思われる”と指摘した。

更に、“これは全般的な食糧不足の現象以外に、北朝鮮当局の政策的な過ちも重要な要因だったということを示唆している”と述べ、“5月の北朝鮮の市場の(穀物の)価格の下落については、非正常な価格の高騰現象が安定化する傾向にあるもの”と予想した。

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チョン・クァンミン研究委員は、2005年に名古屋大学で博士の学位を取得した。著書‘北朝鮮の飢饉の政治経済学:首領経済・自力更正・飢饉’(2005年)で、1990年代の北朝鮮の飢饉は、北朝鮮体制の矛盾から始まったと明らかにした。