第5回6カ国協議の3段階会議の四日目である11日現在、今回の会談の主要な争点の一つだった寧辺の5MW原子炉及び、核施設の処理問題に関して、‘閉鎖’(shutdown)の方向で暫定的に合意したと伝えられた。
6カ国協議の米国側首席代表であるクリストファー・ヒル国務省次官補は10日、“争点になっている合意文の下書きの文句は、寧辺の核施設の未来とは無関係だ”と言い、“北朝鮮と‘凍結’(freeze)ではない‘閉鎖’という用語を書くことで互いに理解した”と明らかにした。
ヒル氏はまた、金桂冠北朝鮮外務省次官と、‘閉鎖’という表現で合意したのかという問いに、“私たちは同じ方向に向かっているので、‘閉鎖’という表現を書くことにしたのだと思う”と述べ、これ以上、核施設処理に係わる表現が‘争点’になってはいないことを示唆した。
アメリカが今回の会談で、北朝鮮の‘初期移行段階’として核施設の閉鎖措置を強く要求したことは、94年の‘ジュネーブ合意’に対する不信に起因すると思われる。
ジュネーブ合意では“北朝鮮は黒煙減速原子炉及び、関連施設を‘凍結’し、窮極的にこれを解体する”と合意することで、凍結措置以後も、核施設への北朝鮮の技術者の出入りが許容されるなど、いつでもその気になれば再稼動できるレベルだった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面実際、2002年10月に大統領特使として平壌を訪問したジェイムズ・ケリー米国務省次官補が、“北朝鮮がウラン濃縮核プログラムを認めた”と言及し、アメリカは対北重油支援を中断した。これに反発した北朝鮮は、数週間後に寧辺に設置した監視カメラを取り外した後、核凍結の解除を発表して、2003年の半ばからは核開発の再開を宣言した。
したがって、米朝間の‘凍結’と‘閉鎖’をめぐる摩擦が予想されたのとは異なり、北朝鮮側がアメリカが要求した閉鎖措置を素直に受け入れたため、これについての解釈はまちまちである。
一部では、北朝鮮が今年の新年社説で明らかにしているように、‘経済’問題の解決に集中しようとしても、電気が不足しており、工場の稼動が困難であるなど、深刻なエネルギー難の打開のための戦略的選択だったという分析も出ている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面これに対して、韓国国防研究員のキム・テウ責任研究委員は、デイリーNKとの通話で、“今回の6カ国協議が決裂する場合、アメリカが対話から強硬措置に回る可能性が高い”と述べ、“強硬措置の中には最小限の軍事行動で北の核プログラムを中断させられる計画も含まれる”と語った。
キム研究委員は“北朝鮮は自らも、これ以上孤立できないという強迫観念のため、今回の会談である程度前進した合意を出して、経済的実利を追い求めるということだ”と明らかにした。
しかし、“寧辺の核施設に対する閉鎖措置に、原則的に合意したが、今後米朝間で詳細な討議に入れば、いつでも異なる意見が出る可能性がある”と付け加えた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面
これと関連し、日本の朝日新聞は、北朝鮮は寧辺の核施設の稼動の停止など、初期移行措置の対価として、年間の電力200万kW相当のエネルギー支援を要求したと伝えた。重油に換算すれば200万トンにあたる相当な規模だ。94年のジュネーブ合意では年間50万トンの支援を約束している。
これに対して韓国の首席代表である千英宇朝鮮半島平和交渉本部長は11日、“北朝鮮が13年前から主張してきた内容”だと言いながらも、“200万kWの主張をしないのは今回が初めて”と否認した。
これに関し、北京のある外交消息筋は、“北朝鮮がエネルギー補償の規模を具体的にいくらほしいと数値で言わずに、ジュネーブ交渉の時と変わった状況について言及し、‘当時の数倍以上’という形式で、補償の規模を提示していると伝わっている”と語った。
これにより、北朝鮮が核廃棄のための初期段階の移行措置として、寧辺の核施設の‘閉鎖’措置を受け入れたため、議長国である中国が提示した、初期移行措置の時限(60日)内に、使用可能な大規模なエネルギー支援を要求していると伝えられた。
韓国を含めた残りの5ヶ国は、北朝鮮のこのような要求が‘非現実的’であると見ており、対北説得作業を行っている。また‘相応措置’について北朝鮮を除いた5ヶ国が協議を続けているが、日本は‘拉致問題’、ロシアは‘対北借款の帳消し’問題で消極的な立場であり、妥協点を探るのは困難であるようだ。
北朝鮮に提供する代替エネルギーの問題が、6カ国協議の懸案となり、韓国が‘対北エネルギー支援のワーキンググループ’を主導する方案が浮上していると伝えられた。この中で、残りの5ヶ国が支援する規模と手順を決めるという。
しかし、外交関係者の間では、韓国政府の否認にもかかわらず、対北エネルギー支援に関して、韓国政府が大部分を引き受ける可能性が高いという推測が出ている。もしこの問題が現実になれば、国内では’北朝鮮への一方的支援’の議論を避けることはできないだろう。
また’閉鎖’が議論されている寧辺の核施設は、既にプルトニウム核兵器(5から10基推定)を全て生産したため、役に立たず、北朝鮮の立場としては、閉鎖しても大きな損失はなく、むしろ代替エネルギーをもらえば、’そっくりそのまま残る商売’になるという主張も出ている。
一方、今回の会談で前進した合意が導き出されるとしても、越えなければならない山は多い。今回の会談の議題から除かれた、軽水炉の問題をはじめとし、対北金融制裁・北朝鮮の全ての核プログラムの錐吹E既に作られた核兵器・高濃縮ウラン(HEU)の処理などの問題は、相変らず残っている火種であり、険しい道のりが予想される。