北朝鮮が3月28日午前10時30分頃、西海上で短距離対艦ミサイルを三回にわたり数発発射した。今回の実験は去年 の6月27日のKN-02短距離ミサイルを発射して9ヵ月余り経った後に実施されたものだが、軍当局は今年4月までに行われる戦闘準備判定検閲と冬季訓練の最中に発射されたため、通常の訓練と説明しているが、一部では新政府を手懐けるためのもの、あるいは核交渉戦略の一環という説明も出ている。
北朝鮮は射程距離46kmの対艦ミサイル(スティックス)と、射程距離100~120kmほどのKN-01/02短距離ミサイルの性能実験を持続的に実施している。2003年2月から’KN-01’を、2004年から’KN-02’を毎年試験発射しているのを見ると、通常の訓練という主張がもう少し説得力ある状況だ。西海上に浮かんでいる艦艇から陸上方向である北東に向けてミサイルを発射し、射程距離も短いという点から、年例の性秤?P訓練と思われるということだ。
北朝鮮のミサイル発射が日常の軍事訓練の一環として展開されたことは明らかだが、だからと言ってそうした目的だけだとは思えない。北朝鮮は使用できる外交安保的戦術、活用できる資源が非常に制限されているため、一つの仕事をする際、3つから4つの目的を同時に果たそうとすることがよくある。
北朝鮮のミサイル発射は、 1)軍事戦術訓練 2)ミサイル性能の改良実験 3)ミサイルマーケティング用の実験 4)韓国の国内政治に対する干渉(総選など) 5)新政府の手懐け 6)核交渉を有利に持って行くための圧迫用など、予想可能な目的のうち、2つから4つの目的を同時に追求しているようだ。例年は主に5月~6月にミサイル発射訓練をしていたのが、今回は3月に行ったのも何か他の目的があるということを示唆している。そして、開城の南北経協事務所に常駐していた韓国当局の要員を事実上追放したまさにその翌日、総選の選挙運動が始まったまさにその翌日にミサイル発射実験をしたというのも、相当大きな意味を持っていると思われる。
北朝鮮のミサイル発射実験が国際的な強い関心を引くため、北朝鮮はミサイル発射実験を他の目的に活用しようとする試みを続けてきた。北朝鮮は忘れられそうになると、‘私はここにいますよ!’と大声で叫び、何かをする。そして食膳に多様な核の懸案と多様なミサイル、その他新しいメニューをしきりに乗せてきて、食事代をせしめようとする。そして韓国で多様な反応が出たら、論争が激しくなるのを見物して楽しむ。既に、北朝鮮のミサイル実験に対して強硬な対応を注文する主張と、新政府が北朝鮮をもう少し包容する方向に政策を展開することを要求する主張があちらこちらで出ている。
だが、北朝鮮の目的はまさにそこにあるため、そうした反応は北朝鮮の戦略に巻き込まれるだけである。北朝鮮のこうした行動に対する最善の対応は、徹底的な無視戦略だ。焦って対応したら北朝鮮の戦略に巻き込まれるようになっているため、こうしたミサイル試験などは無視して、既存の対北政策と対北路線を屈することなく貫き、物静かに対応するのが最も適切な方法である。