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表では‘全体のために’を標榜するが、‘権力万煤fと‘金銭万煤fの世界に堕落してしまった北朝鮮社会で、私が自分自身を維持して世の中に対抗できる力はただ、自分自身に対する冷酷さだけだった。

こうした私にも、周囲の人々の情を負担なく受け入れることができた日が1日だけあった。女性の祝日である‘3月8日の国際婦女節(世界女性の日)’だった。

女性というだけで私が初めてもてなしを受けたのは、社会に出て働いた労動の現場だった。特に鮮かに記憶しているのは、中央熱網事業所のウオルヒャン作業班で働いていた年の3月8日だ。

まだ中央暖房(セントラルヒーテイング)が供給されていた頃で、中央暖房事業所の力はどこに行っても非常に強かった。中央暖房事業所とよい関係を維持すれば、冬の間ずっと暖房を保障できるという事実は、平壌市内のすべての家庭とすべての企業所の不文律だった。

私たちの作業班で新らしく選ばれた除隊軍人の班長は、その力をあますところなく発揮してくれた。力がある機関や取引き相手の間を歩き回ってもらって来た、赤いプラスチックの調味料入れや靴下、プラスチック容器、凍太(魚)数匹、トウモロコシのおこし半キログラムなどを私たち作業班の女性に渡してくれた。

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私はその日、私の分を両手にもらい、胸の中一杯に暖かくて明るい陽射しが染みこむような気がした。女性というだけでこのようなもてなしを受けることができるという事実が不思議に思われた。

その後も、3.8節には何かがあった。私がその場に参加できなかった日を除き、少しずつ特別な恩恵があった。

韓国でもう6回目の3.8節を迎える。1月1日、2月16日、4月15日は特に何も考えずに過ぎたが(正直に言って、2月16日や4月15日はその日がずっと経ってから時折思い出すことがあった)、3月に入ると北朝鮮で3.8節を楽しんだ記憶がふと浮かんで心が暖まる。毎年のことだ。

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北朝鮮で3.8節は、人間の世界ではない所で人間的なもてなしを受けることができた、唯一の日だったからかも知れない。