7日に軍人出身の脱北者45人が集まった、‘脱北軍人協会’(会長シム・シンボク)が出帆した。軍人出身の脱北者団体は2005年に結成された‘自由北韓軍人連合’(会長イム・チョニョン)に続き2つ目だ。
11日にソウル市内のカフェでシム会長とインタビューを行い、協会出帆の動機と活動計画について聞いた。
[シム・シンボク会長との一問一答]
- 脱北の動機と北朝鮮での生活は?
“北朝鮮の人民軍に30年間服務した。平壌の防御司令部の政治部で総合指導員の中佐として勤務し、その後中国を経て98年10月に大韓民国に入国した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面亡くなった両親が労働党員だったという‘コネ’があったため、平壌の防御司令部で働いた。上級幹部たちとの酒の席で、金正日の政治的欲望や私生活についての話を聞いた。それがきっかけで金正日と北朝鮮社会に幻滅した。
キリスト教の影響も大きかった。逆説的だが、国家保衛部員たちが聖書と神様について最も多く知っている。賛美歌のどの章がどんな歌なのか知っているほどだ。国家保衛部員の中に、聖書を読む人を処罰しているうち、聖書と神様について知るようになる人がいる。私の友達も保衛部に勤めていて聖書に接した。彼に聖書を渡してもらった後、聖書を読んで済州アジア放送(現在は済州極東放送)を聞いて、脱北を決心した”
- 当時、金正日について聞いた話はあるか.
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面“金正日は幼い時から権威者になるために緻密だった人だ。韓国にも‘コード政治’という言葉があるが、北朝鮮式コード政治は枝を踏み付けることだから、韓国とは比べるのが困難だ。金正日は必要な幹部を味方にするために、家や乗用車などを祭日ごとに贈り物として送って抱きこんだ。北朝鮮国内に‘賄賂風’を吹かせた張本人が金正日だ。
軍に服務していた時、金正日の複雑な女性関係などの話も聞くことができた。だが私はただ、‘金正日は問題がある人だ’という不満を抱く程度だった”
- 韓国に入国してから10年経つ.ここでの生活は?
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面“北朝鮮での10年と比べると、一瞬のように感じられる。私は北で、ラジオを通じて聞いた宣教の声を直接聞くために脱北した。そのため、デャ東?iで1年働いてパートタイム伝道師として働きながら、大学院に3年通った。その後、専任伝道師として2年働き、2005年10月に按手を受けて、イルサンで開拓教会を設立し、牧会活動を始めた”
- 脱北者団体が雨後の筍のようにできる現象を批判する声もあるが.
“まだ脱北者団体を代表できる唯一の連合団体がない。使命感が不足している団体もある。‘脱北軍人協会’の出帆が、既に結成された団体と連帯することができないように見えるかも知れないが、韓国で様々な政党や社会団体が活動していることと同じ視覚で見てもらえたらよい。
脱北軍人団体の結成の必要性は4年前から考えており、北朝鮮問題を解決するために努力しなければならないという責任感から結成した。北朝鮮問題の解決は、根源的に金正日政権の崩壊だと考えている”
-‘脱北軍人協会’はどのように運営しているのか?
“人民軍出身の脱北者が45人集まって団体を作った。組職をしっかりと構成した後、団体を出帆しなければならなかったが、現在は代表と事務局長体制で活動している。今後、会員の活動力を高めて、チームごとに運営する計画だ”
- 2005年に結成された‘自由北韓軍人連合’と協力関係を持つことになるのか?
“自由北韓軍人連合と協力して働けばよいが、現在はそうではない。脱北軍人協会と自由北韓軍人連合は働く方法が異なり、共に活動できる条件にない。特に、見せもの的事業やイベント性の事業は自制しなければならない。‘北朝鮮の補給倉庫を砕いて進もう’ といった扇動的で過激な活動や、‘5・18の光州に北朝鮮の特殊部隊が投入された’という主張なども現実にふさわしくない”
- 詳しい活動計画は?
“金正日政権が崩壊せずに維持されているのは、幼い時から金正日だけのために教育を受けた150万の人民軍があるからだ。軍人出身の脱北者のうち、軍事的に重要な情報や資料を持っている人もいて、今も昔一緒に服務した人民軍と連絡を取りながら、助け合っている人たちもいる。団体が軍人の組織であるため、北朝鮮軍に対する総合的な情報と人民軍の政治思想的武装状態などを、国軍と韓国国民に知らせることを優先的に行いたい。
また、人民軍を相手に民主主義意識を伝える仕事をしようと思っている。現在は最前線の1梯隊(休戦ラインの20km)に配置された1, 2, 4, 5軍団の軍人たちを対象に、風船でビラを撤く計画だ。また、相対的に接近しやすい中朝国境地域の人民軍と接触し、北朝鮮社会に対する正しい情報を伝達する計画も準備中だ”
- 李明博政府の脱北者政策と対北政策を評価するとしたら.
“10年間、左派政府は本質的に北朝鮮政府のような意識だった。李明博政府の対北政策と脱北者政策が、これまでの政府よりよいということは明らかだが、以前に比べて画期的な変化があるとは期待していない。対北政策は政府の努力と関係なく、北朝鮮政府が応答をしないだろうという点で悲観的だ。ただ、脱北者団体の立場が伝達される条件はよくなったと言える”
- 金大中-盧武鉉政府の対北政策を評価するとしたら.
“太陽政策は日差しで変化を導くというものだが、金正日は‘私たちは絶対変わらない’と言っている。韓国政府の太陽政策は、金正日と‘見目よい絵を一つ作ろう’という要式行為に過ぎなかった。実際に、北朝鮮がしようというまま引っ張られ、変化を主導することができなかった。国民に映る姿だけに汲々としていて、話し合って会談する姿だけを演出した。
最近政権が変わったが、無条件‘北朝鮮に人道的支援をしなければならない’と主張する人がいる。これは、北朝鮮の現実を知らずに言っていることである。韓国がいくら与えても、食べることができない人は食べることができず、与えなくても食べる人は食べられるのが北朝鮮だ”