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4日、デイリーNKは北朝鮮の内部消息筋の話を引用して、会寧市から国境警備隊1個小隊などが中国に脱出したと報道した。

彼らは最近、中朝国境地域に対する中央党の合同グループ(検閲団)の逮捕を避けて脱出し、彼らを検挙するために北朝鮮の逮捕組が中国に浸透、逮捕活動をしているという報道だった。

報道の具体的内容を100%信じるのはまだ困難であるが、複数の消息筋に確認したため、基本的な内容は事実であるのは確かだろう。事実だとしたら、これは大事件である。

体制崩壊の第1、第2段階は過ぎる

この間、北朝鮮体制は多くの段階を経て除々に崩壊してきた。その第1段階が90年代初頭から始まった配給体制の崩壊を中心にした、各種の行政システムの崩壊だった。個人が反合法、非合法市場を作って、不法に遠い地域に出かけたり、国境を超えて自ら生活の道を開拓して行った時期だった。自ら生活する道を捜すことができなかった多くの人々が飢え死にした。

第2段階は90年代の末、こうした1次的な崩壊現象が一区切りついて、新しい体制がいくらか沈静化した段階だ。この段階の最も代表的な特徴は、腐敗の広範に渡る「食物連鎖」が形成され、これが全てのシステムの基本構造になったということだ。それ以前も、北朝鮮で腐敗は極めてひどかった。しかし、90年代末から2000年代に入り、その腐敗が質的に深刻になり、量的に急増した。これを測定することは不可能だが、おそらく90年代初頭に比べて収賄が5〜10倍は増えたはずだ。

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これはいくつかの側面から、比較的安定した構造を持っていた。その第一が、ほんのわずかな権限を持った全ての人々が賄賂を受けても、内部では違和感などは少なかった。何の権限もない半数の住民と、わずかな権限でも持った半数の住民の間の違和感と怒りは少しずつ蓄積されたが、賄賂を受ける広範な人々の間では、互いに互いを認めてやる雰囲気があり、比較的安定していた。

二番目は、賄賂を受ける人々は、自分の上司にその一部を納めて、その上司はまたその一部を納めるという、腐敗の「食物連鎖」が形成されていたということである。そのため、比較的安定していた。保衛部などの外部機関が調査に出ても、その間集めておいたお金があるため、そのお金さえ握らせれば特に問題ない場合が大部分だった。ひっかかった人々は職級が非常に低かったり、やり始めたばかりで集めておいたお金が非常に少ない場合だけだった。

10年近く、こうした状態がかなり安定した姿を見せてきており、これは腐敗がとても乱雑で多様な姿を見せる、他の低開発国に比べて珍しいことで、専門家たちの関心と注意を引いていた。腐敗の質と量においては地球上のどの国とも比較にならない程ひどいが、その腐敗国「が非常に早い速度で秩序をもたらし、そのため、ある専門家はこうした国「はかなり長期間、安定性を維持することができると見通しもした。

腐敗国「-金正日の権威の矛盾が明らかに

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しかし、今回このような腐敗の「食物連鎖」構造に相当な打撃が加えられ、穴が生じた。国境警備隊はとても儲けが良い所だ。その中でも会寧は黄身の中の黄身である。その末端の兵士の1人や2人は分からないが、将校まで含まれており、係わる兵士たちもかなり多い。これ位ならば、集めておいた多くのお金で多額の賄賂を提供することもできるはずで、この間定期的に納めて来た上級機関(地域の保衛部含む)もあるはずで、またコネもあるだろう。

にもかかわらず、中間で阻むことができずに、結局処罰されるようになり、関連者が大挙中国に逃げる事態まで起こったのだ。これをどのように説明すればよいだろうか。

北朝鮮では腐敗の「食物連鎖」構造の頂点に金正日がいる。しかし、金正日がこうした腐敗の「食物連鎖」構造をよく知っているのかは分からないが、このように深刻な腐敗は、北朝鮮で神のような存在である金正日の権威に傷をつけると解釈することもできる。それで軍の他の経路やその他の経路を通じて入手した具体的情報によって、厳しい処罰を直接指示した可能性が高い。腐敗の「食物連鎖」構造と、金正日の神的な権威と権力の間の矛盾が本格的に現れるようになったのだ。

旧体制と腐敗「食物連鎖」構造に本格的に対峙

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今回のような事件が一回で終わる可能性もある。しかし、多額の賄賂を受ける人々は安全だという信頼が壊れてしまった。そのため、この間賄賂を沢山集めておいた人々が不安を感じて、大挙して脱出の隊列に参加する事態が生じる可能性がある。そうした人々の突然の失踪は、関連する人々の不安感を刺激し、連鎖した脱出を呼ぶ可能性もある。そのため、今回の事件は北朝鮮崩壊の第2段階から第3段階に移行する信号弾と見ることもできる。

今回の国境警備隊の大量な北朝鮮脱出の事態の具体的な原因と経過を、もう少し綿密に見なければならないが、とにかく新しい腐敗の「食物連鎖」と旧体制の共存は、ますます困難になっているということを示している。

北朝鮮崩壊の第3段階では、旧体制と腐敗の「食物連鎖」構造が本格的に対決する局面が展開されるだろう。旧体制と腐敗の「食物連鎖」構造だけが対決するのではなく、旧体制と市場、旧体制と新しい文化、旧体制と外部情報など、多角的に衝突が生ずるが、中でも最も激しく広範囲に渡る衝突は、腐敗の「食物連鎖」構造との戦いになると思われる。

腐敗の「食物連鎖」構造は、長年に渡って形成され、発展したため、非常に大きな利害関係がからんでおり、激しい激突が予想される。このような激突は北朝鮮体制のあちこちに穴をあけるだろう。

こうした穴の中で、マフィア的、奴隷制的、軍閥的な首領独裁体制と、自主的生を追い求める北朝鮮の人民の間の、本質的な矛盾がはっきりと現れるようになるはずであり、金正日の首領独裁体制と北朝鮮の人民が、本格的に激しく対峙する崩壊の第4段階に突入するだろう。北朝鮮の崩壊が、ますます近づいている。