北朝鮮国内の華僑が、貿易業者の中国丹東-平壌間国際列車の手荷物手続きを代行する対価として300人民元を受け取っていると、デイリーNKの内部情報源が伝えてきた。北朝鮮の貿易業者の間ではこれを「旅券賃貸事業」と呼ぶ。

平安北道の情報源は28日、デイリーNKとの通話で「平壌の華僑が平壌市場で中産層が消費する特定注文商品の注文を受けたり、貿易業者の荷物の手続きを代行している。麻疹のために平壌の華僑は国際列車の利用が制限されていたが、最近通行禁止令が解除され再び丹東に向かい始めた」と伝えた。

華僑はいわゆる「市民権」と同様の北朝鮮公民証の交付を受けているが、国籍は中国でありほとんどが中国旅券を所持している。そのため北朝鮮住民よりも移動が自由。この点を利用し貿易業者や卸売業者は中国への出入りが自由な華僑に一定額を払い、商品を中国から大量に仕入れる。

情報源によると、平壌百貨店をはじめとする平壌市場の卸売業者は主にこうした方法で中国から直接商品を仕入れたり、新義州税関から入って来た商品を平壌市場に卸し小売する。特定商品とは中産層以上の住民が注文した商品のことで、品質に優れ流行をリードするため二倍以上の代金を得ることが出来る。

情報源は「丹東には新義州など各地方からの華僑が多いが、国際列車の終点が平壌であるため平壌の華僑を利用すれば商品流通にも便利で(手続きの)流れも簡単なため、彼らの価値が上昇している」と紹介した。実際、手荷物手続き代行費用が通常の150元から最近300元まで上昇したという。

情報源はさらに「華僑は自前で商品を生産し平壌市場に卸したり、中朝市場の貿易業者の現金伝達を代行する代わり金額の5%を手数料として徴収する方法で金を稼いでいる。国際列車の手荷物を通し平壌市場卸売業者の注文商品を仲介する際も旅券手数料を受け取る。貿易業者は通常、貿易許可品目以外の商品は北朝鮮に入る丹東貿易車の運転士と話し合い末新義州に持ち込むが、この費用より華僑を利用し国際列車で代理手続きを行う方が安いため、華僑を利用する貿易業者が多い」と説明した。

丹東-平壌間国際列車の手荷物限度は1回、1人当り300キロ。900キロ程度の手荷物を送る場合、複数の華僑を利用したり、一人を数日間利用する。国際列車に持ち込める荷物の重量は50キロで、超過時は1キロ当り1.50元を払わなければならない。一人当り国際列車を利用し一度に計350キロまでの荷物を運ぶことが出来る。

丹東発国際列車は午前10時(中国時間)に出発し、5時間30分走行する。新義州に到着すると30~40分停車した後、塩州-宣川-定州-新安州を経て平壌に到着する。国際列車の切符は300元。

国際列車の内部は一般車両、一般食堂、上級車両、外国人車両、外国人食堂となっている。北朝鮮住民が外国人と接触できないよう客室は分離されており、座席券は中国人と北朝鮮人は分離して販売される。一般食堂は北朝鮮ウォンと外貨が使用でき、外国人食堂は外貨のみ使用可能。

国際列車が午後3時30分ごろ平壌駅に停車すると、税関検査、国境統合検査、衛生検査が実施される。情報源は「税関検査は国家保衛部の所管で、出入国確認と旅行者の旅券対照が行われ、全員が終わるまで降車出来ない。国境統合検査は武力部傘下の朝鮮人民軍第529軍部隊国境司令部(国境総局)が実施する」と説明した。

国境統合検査は旅行者の国境秩序違反調査など、旅行中や列車から降りる際の外国人客との接触を監視・統制するのが目的。検査が終わると別途指定された入り口から降車し、送り状と交換で手荷物を受け取る。北朝鮮住民は手荷物受け取り手続きが複雑な反面、外国人や華僑は比較的簡単なため手荷物受け取りの際にも華僑が利用されるという。

情報源は「新義州税関は商人に対し検閲を厳しく行い、商品を一つでも多く押収しようとする。そのため国際列車で商品を運ぶ方が安全で安く済む。自分の国(北朝鮮)の住民の海外への出入りは遮断しながら、華僑の金稼ぎを手伝う結果となっている」と指摘した。

一方、情報源によると、北朝鮮当局が6月初め麻疹拡散防止のために下した平安北道龍川と新義州地域に対する通行禁止令が15日に解除されたという。当時、麻疹が発生した龍川と新義州を通行禁止地域に指定し、他の市・郡の住民の出入りと新義州住民の他地域への移動が遮断された。

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