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北朝鮮軍に対しても配給がほぼ中断され、地域別に生活水準の格差が深刻化していると伝えられる。このため住民は軍人の軍服を見るだけで、どの地域のどの部隊に服務しているのか分かるほどだと内部消息筋が伝えてきた。

咸鏡北道清津市の消息筋は17日、デイリーNKとの通話で「現在、軍人に季節ごとの軍服が正常に供給されておらず、(軍人らに)不都合が生じている。最近、市場では軍服生地が飛ぶように売れている。軍人らの服装(軍服)は見ていられない。軍人なのか『コチェビ』なのか区別がつかないほどだ。軍服をきちんと着て服務もまともに遂行するためには金が必要」と話した。

通常、北朝鮮の軍人には夏服と冬服が2着ずつ支給される。その他基本的な生活必需品の洗面道具、靴下、下着なども供給されるが、苦難の行軍が始まった90年代末からは支給がほぼ停止した。

そのため金のある一般兵士はもちろん、高級軍官(中領以上)も軍服生地を購入し、自ら縫って着ていると消息筋は伝える。金のない一般兵士は古くなったまま着たり、略奪することもしばしばあるという。

こうした現象のため市場では軍服生地の人気が高い。消息筋によると、一般兵士の軍服1着分の生地は10~20ドル(1ドル当り北朝鮮ウォン7500ウォン)程度で、高級軍官(中領以上)の場合だと100ドルは優に超える。

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北朝鮮で米の値段が5000ウォン(1キロ)程度である点を考慮すると、一般兵士の軍服1着を仕立てるためには米15~30キロ分が必要。北朝鮮の軍服務期間は男性が10年、女性が6年だ。

軍服生地も多様だ。一般兵士用の生地はテトロンやポリエステル成分が多く含まれ、ツルツルした見た目である一方、高級軍官(高級将校)用は毛織(羊の毛から作った生地)成分が多く含まれた高級生地であるため、色合いもカーキ色で洗練されている。

消息筋によると、北朝鮮軍が駐屯する地域別に軍人の生活条件にも差があるという。国境地域の豆満江と鴨緑江の警備を担当する国境警備隊と、平壌市に駐屯する護衛司令部、防御司令部などは生活環境が良い。その他、黄海南道に駐屯する4軍団、平安北道の8軍団、咸鏡南道の7軍団も同様だ。

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消息筋は「親たちは国境警備を最も好む。警備隊に入隊すると脱北者、密輸者、闇取引など、中国との国境付近で商売する商人から、往来の条件を保障する代価で巨額を受け取ることが出来るためだ。3年経てば金も貯まり党への入党も容易になり、除隊して新生活を始める資金にもなる。平壌市と黄海南道の一部地域は、地域的に交通が便利で軍人が生活するのに有利な条件が整っているため、親たちが安心して子どもを軍隊に送れる。『軍事動員部(兵務庁)』に賄賂を渡してでも送りたい地域」と説明した。

このような地域とは異なり、黄海北道地域にある2軍団の一部地域と部隊、特に江原道に位置する1軍団と5軍団の軍人は「虚弱軍団」「コッチビ軍団」と呼ばれるほど、生活条件が悪いという。

地域別、階級別に軍内の生活環境に大きな差があるため、軍人による犯罪も発生している。消息筋は「7月8日の金日成逝去20周忌行事直前、清津市に駐屯する9軍団傘下の軍人3、4人が夜、通行中の軍人を殴打し着ていた軍服と所持品を強奪する事件が発生した。現在、加害者の軍人らは軍団警務部(憲兵隊)に拘束され取り調べを受けている。加害者側は被害者の軍人が着ていた軍服欲しさで犯行に至ったと陳述している。みすぼらしい軍服を着た軍人は、きちんとした軍服を着た軍人に会うと差別意識を感じる。今後同様の事件がさらに発生すると思われる」と懸念を示した。

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2012年に韓国に入国した、北朝鮮軍出身脱北者のキム某(40代)氏は「北朝鮮軍の軍人が軍服を自主的に製作し着るようになったのは2000年序盤以降。軍服のために民間人の家庭を襲撃したり強奪する現象が増えた。軍服を自主的に解決する現象は今では当たり前」と証言した。