今年の韓国は、例年よりも暖かい気候に包まれ早めに桜が満開とり、花見の名所も市民で賑わい、友人、恋人、家族とともに春の外出を楽しんでいる。
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ところで、韓国よりも山が多い北朝鮮で「花見」はあるのだろうか。
北朝鮮では、1990年代中盤からの大飢饉の時期、北朝鮮住民は薪と食糧を確保するため山の木を多く伐採したため、花見どころか山に木や花が、ほとんど見当たらない。
世界資源研究所(WRI)は先月、2001~2012年に北朝鮮で流失した山林が16万haであるのに反し、新たに造成された山林は1万3000haに過ぎないと発表している。

整然としたプロパガンダ用の「名所」

ただし、外国人観光客が訪れる「名所」はこの限りではない。江原道「金剛山」、咸鏡北道「七宝山」、平安北道「妙香山」などは「展示用」宣伝として北朝鮮当局によって美しく整備されている。
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実際、北朝鮮の「朝鮮金剛山国際旅行社」は昨年末、ホームページを通し金剛山周辺地域にあるスキー場を施設を備えた自然公園と、スイスのウォーターパークの名称になぞらえた「アルパマレ」ウォーターパーク・カジノ及び観光客用の宿泊施設建設案を公開している。
絶景で名を馳せる「七宝山」は、1996年から観光地として開発が始められ、1999年以降、外国人観光客が出入りできるようになった。来月には七宝山を観光する列車が再開されるため、北当局は景観造成にさらに注力するものと予想される。
また、妙香山の入り口には、対外宣伝を目的に金日成・金正日父子が世界各国から受け取った贈り物を展示した「国際親善観覧館」が建設された。

花見の自由もなく、楽しむ余裕もない

北朝鮮の庶民たちは、移動が制限されておりこうした名所はなかなか行けない。また、慢性的な経済難と食糧難から「花見」を楽しむ余裕すらない。
北朝鮮江原道出身の脱北者は4日、デイリーNKに「北朝鮮ははげ山だらけで花や木は無いに等しい。春になると住民は散歩をしに弁当を持って山に行くが、山には花がなく見物するものがない。北朝鮮にはツツジが多いが、生活が苦しいため花見など頭に無く贅沢に過ぎない。住民は花を食糧代わりに食べたり、酒を漬けるために摘んだりする」と話した。
こうした状況にもかかわらず、北朝鮮当局は「金日成花・金正日花」の整備にのみ注力している。

花見は自由にできず、動員で金父子の花を見る

金日成花とは金日成がインドネシアのスカルノからもらった紫色のスミレのこと。金正日花とは日本の園芸学者、加茂元照が贈ったとされるベコニア科の多年生植物で、1998年の金正日の誕生日に初めて紹介され、北朝鮮では「不滅の花」と呼ばれている。
労働新聞は2月、金正日の誕生日(2.16)を迎え、咸鏡北道清津市と咸鏡南道咸興市などで「金正日花をさらに美しく咲かせるため、昼夜を問わず知恵と情熱を捧げ温湿度の管理と換気を徹底してきた」と宣伝している。
平安南道出身の某脱北者は「金日成・金正日の誕生日には平壌市に『金日成・金正日花展示館』を特別に設置する。地方でも『不滅の花展示会』参観行事を実施し、住民が列を成して訪問すると宣伝する。住民は普段は花など見ることが出来ないが、当局の動員により宣伝用の花を見るのが全て」と指摘した。

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