北朝鮮は朴槿恵大統領の「ドレスデン国z」を連日宣伝メディアを動員し、露骨な表現で非難しているが、今度は金正恩自身が「最近、朝鮮半島情勢は厳しい。これは米国と敵対勢力の悪辣な企みが原因」と言及。南北関係が当面は冷え込むものと展望される。
北朝鮮は最近、外務省を通し4回目の核実験の可能性を示唆するほか、西海海上での射撃などで朝鮮半島の緊張をさらに高めているが、これは朴大統領が表明した「ドレスデン対北提案」に対する不満の表れと指摘される。北朝鮮が渇望する対北支援や金剛山観光再開といった「直接的支援」よりも「国際社会との交流時の支援」に焦点が当てられていることへの不満と見られる。
またドイツ・ドレスデンが「ドイツ式吸収統一」を象徴しているため、朴大統領が表明した「ドレスデン国z」を北朝鮮は吸収統一と認識、同国zを事実上拒否する立場を示したものと思われる。当面の冷却局面は不可避と専門家らは展望する。
金正恩が1日、人民軍連合部隊指揮官らの決意大会で、現在の朝鮮半島情勢を「極めて厳しい」と評価し、「我が軍隊と人民は米国の対朝鮮敵対視政策を絶対に容認しない。徹底的に踏み潰す」と威嚇したことも、米韓の対北政策の変化なしに関係改善は不可能との意思をほのめかしたものと解釈できる。
北朝鮮は今月は最高人民会議1次会議(9日)、金日成誕生日(15日)、朝鮮軍創立日(25日)などと重要な政治日程が予定されているだけに、対外的には挑発威嚇で緊張を高め、内部引き締めに注力することが予想される。
また米韓合同軍事演習が今月18日に終了するほか、オバマ米大統領の訪韓が今月下旬に予定されているため、北朝鮮が今後、南北及び米朝対話で主導権を握るためにも、関係改善よりも朝鮮半島の緊張を高め交渉テーブルでの自身の価値を高めようとする可能性もある。
このほか、韓国軍と情報当局がペンニョン島と京畿道坡州に墜落した無人航空機が北朝鮮製と結論付けたことを理由に、武力挑発を強行し朝鮮半島情勢を破局へ追いやる可能性も排除できない。
自由民主研究院のユ・ドンヨル院長はデイリーNKに「北朝鮮が米韓の対北政策の転換のために対南強硬モードを続ける可能性が高い。そのため南北関係も当面は行き詰るだろう。金正恩は内部を引き締めるため6月25日(韓国戦争)までは多様な軍事的威嚇を行う可能性が濃厚」と展望した。さらに「政府に対しては強硬策を維持しつつ、民間団体とは交流を強化し韓国内の分裂を助長するという戦術を再度試みるだろう。政府は外的には膠着局面を打開するため、『ドレスデン提案』を中心に複数の提案をして北朝鮮の変化を促すべきだ。内的には金正恩政権を長期的に孤立させ、崩壊させる戦略も準備しなければならない」と強調した。
一方、韓国政府は北朝鮮の挑発には動じず、「朝鮮半島信頼プロセス」を軸に信頼を構築し、変化を促すとの立場に変化はない。朴大統領は1日、在外公館長を招聘し晩餐会を開催。「ドイツのベルリンと旧東ドイツ地域のドレスデンを訪問し、統一ドイツの発展像を見ながら朝鮮半島の統一に向け確信した」と述べ、統一に対する意志を再確認した。