金正恩の夫人、李雪主に対する北朝鮮住民の否定的な世論が急速に拡散しているという。2012年7月に北朝鮮メディアに公式に登場した彼女が、人民に親しい社会主義の気風に相応しくない華麗で豪華な装いをし、出身成分を重要視する北朝鮮において銀河水管弦楽団出身者が最高指導者の夫人になるとはとの世論が若い層を中心に広まっていると消息筋が伝えてきた。


特に家父長的な北朝鮮社会で、高齢の高位幹部らが20代中盤の李雪主に90度のお辞儀をすることに対し、住民は強い拒否感を見せている。また国の運営において金正恩をまともに補佐することができるのかと批判世論も拡散している。


25日、平壌をはじめ咸鏡北道や両江道の消息筋によれば、北朝鮮住民の間で李雪主に対し ▲「歌、踊りをしていた芸人が国母とは…」 ▲「化粧、おしゃればかりで共和国に関心はあるのか」 ▲「祖父のような幹部が青二才の娘に90度で挨拶するのは見苦しい」 ▲「国の政治に理解などあるわけがない」などの非難が相次いでいるという。


平壌の消息筋は同日、デイリーNKに「北朝鮮住民の間では将軍様の夫人の李雪主同志に対する非難が若い層を中心に拡散しており、北朝鮮当局がこれを防ぐために苦労している。李雪主同志に対し、旅芸人、芸人、贅沢者などと否定的な発言が出ている。数十年間共和国を率いてきた老幹部が若い娘の李雪主に90度に腰を曲げて挨拶するのを見た住民は、最初は顔をしかめる程度だったが、最近では見苦しいと口に出して話している。共和国が食糧事情が悪く配給もない状態なのに、あのようにおしゃればかりに気を使う人間(李雪主)を我が共和国の国母と言うのは無理があるとも話している」と伝えてきた。


消息筋はさらに「住民は『父親、祖父の年齢ともいえる老幹部が腰を曲げて挨拶するのも見苦しいが、気兼ねなく握手したり堂々と笑っている姿が憎たらしい』とまで話している。最初(李雪主が)紹介される時に(金正恩と)腕を組んで歩く姿を見て呆れたと話す住民もいる」と強調した。


両江道の消息筋も「李雪主同志に対しよくない評価をする若い女性が増えている。彼女らは李雪主のファッションに関心を見せることもあるが、最高指導者の夫人があのようなおしゃれをすることに対し強い拒否感を見せている。(李雪主が)華麗なアクセサリーをつける一方で首領様の肖像バッジはつけていないことを指摘し、中身のない野暮な人間と話す人もいる」と話した。


消息筋はさらに「過去、将軍様(金正日氏)は夫人を公式の場で紹介したことがなく、住民は遠い存在と感じていたが、元帥様の夫人に対しては『礼儀がない、個性的、未熟、贅沢者、野暮』などの表現で露骨に非難している。『元帥様の夫人なら国母らしい資質が求められるが、大学も出ていない』と話す人もいる。こうした反応は一番おしゃれをしたい盛りの若い女性の嫉妬とも思えるが、若い女性だけでなく男性など一般住民もこうした非難をしており、李雪主同志への非難はそう簡単には終わらないだろう。一部の男性は(李雪主の)ヘアスタイルや服装を見ては『韓国ドラマをたくさん見たのでは。これからは社会主義検閲がなくなるだろう』と皮肉っている」と話した。


咸鏡北道会寧の消息筋は「ほとんどの住民は金正恩をはじめ李雪主に対し、特別な関心は持っていない。しかし李雪主に関する話題になると『住民を想う姿よりも芸人というイメージが強い』との反応が見られる。特に住民は『国家行事に参加する際も肖像画(バッジ)よりも衣服、靴、ネックレス、時計、カバンなどの高級品に神経を使うように見受けられ、威厳が感じられない』と評価している」と伝えた。


一方、消息筋は李雪主に対する効した否定的な世論が北朝鮮内部に急速に広まるなかで、彼女の公開活動も減ったと分析した。民心などを把握する任務を受け持つ国家安全保衛部員や人民保安員などにより、こうした状況が党中央に報告され、これを深刻に受け止めた主要幹部らが金正恩に建議したため、最近に入り李雪主が公開の場に姿を現していないと消息筋は推測した。


恵山の消息筋は「『元帥様の夫人に対する住民の認識がよくないということを党中央が深刻に受け止めているようだ』という党幹部の話を聞いた。内部的に住民の発言統制を大々的に行うだろうが、昨年のような李雪主同志の振舞いが続けば、住民の否定的な世論は強まるだろう。最近、李雪主が同志が公開の場に登場しないのも、中央にこうした報告が入っているため。管弦楽団の歌手が共和国の指導者の夫人ということ自体、住民に強い拒否感を与えている。朝鮮の3大将軍である金正淑は温かい母親というイメージだが、膝が見えるミニスカートをはいた李雪主に対し国母というイメージを持つのは不可能な話」と話した。