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北朝鮮当局は来月実施される最高人民委員代議員選挙を控え、住民の脱北を遮断するための統制と監視を一層強化しているという。北朝鮮社会の最末端組織である人民班間の「非常連絡体系」が構築され、住民の行動が細かく監視されていると消息筋が伝えてきた。

北朝鮮両江道の消息筋は20日、デイリーNKとの通話で「両江道恵山市の保衛部は人民班長を動員し『不純分子』『脱北を試みた者』などを逮捕するため多様な方法を模索している。先週、保衛部は人民班長を呼び出し住民への監視、通報体系を新たに樹立することに対する具体的な方案を提示した」と伝えてきた。

消息筋はさらに「保衛当局は人民班長に住民の監視状況をより迅速に報告させるため、住民の行動が不審な場合にすぐ連絡ができる『網の目連絡体系』を整えるよう指示した。100人余りに達する人民班長が随時連絡を行い、特異な行動や動向が見られる家庭を把握、相互共有し保衛部に報告している。人民班長は人民班会議で『我々が監視すべき対象は親戚であることもあるし、親しい知人の場合もある。不審な人物はもちろん、知人や親戚の不審な言動も迅速に処理、通報しなければならない』と強調していた」と話した。

消息筋によれば、保衛部は人民班内で脱北する可能性があると疑われる住民がいる場合、該当人民班長だけでなく、周辺の人民班長までを動員し動向を把握・報告させている。該当人民班長は住民が警戒しないようそれとなく接近し、脱北の兆候が察知されると保衛部員は該当住民の自宅を捜査、問題が発生すると逮捕という流れ。こうした監視をより容易に行うため、人民班長間の非常連絡体系が構築された。

消息筋はまた「国境地域のほとんどの住民は密輸だけでなく脱北支援、送金、銅販売などの不法とされる行為を行っている。一部の力のある人民班張は『ほとんどの住民が不法行為をする。誰を捕まえろというのか。不法行為以外に金を稼ぐ方法がない故の結果』と保衛部の指示をあからさまに批判している。脱北者の家族に分類される住民のなかからも新たに人民班長に選出されることがある。脱北者の家族は脱北の可能性が高いため監視の必要があるが、保衛員、保安員は人民班長の家に不意に訪問することが可能なため、わざと人民班長にさせることもある」と話した。

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一方、北朝鮮当局は昨年末の張成沢処刑後、住民の大量脱北を遮断するため国境地域に人民保安部傘下の検閲団を大量に派遣した。その間、脱北に対する処罰と国境地域警備を強化してきたが、脱北者は減少せず、別途の検閲団を組織し派遣したと消息筋は説明した。