今月20日から3年ぶりに南北離散家族再会行事が開催される予定が、デイリーNKは離散家族再会前、再会本行事、再会後など、離散家族がどのように選定され教育を受けるのか、そして北朝鮮で離散家族はどのような待遇を受けているのかについて4回にわたり掲載する。自由民主主義国家の韓国では、民主的な手続きにより離散家族再会対象者が選定されるが、北朝鮮では徹底した思想検証と出身成分により選定され、彼らは一生涯差別待遇を受けながら生きていく。北朝鮮の離散家族の哀歓について掘り下げていく。

韓国と北朝鮮が今月14日、離散家族再会行事に合意したことで、2010年以来3年ぶりに家族らの再会が実現する。韓国政府は離散家族全員が北朝鮮の家族に会いたい心情は同じであるため、大韓赤十字社の抽選により公平に対象者を選定する。しかし北朝鮮は徹底した思想検証と出身成分に基づき選定する。
北朝鮮労働党の組織指導部には、韓国出身の住民と韓国に親戚がいる住民を管理する役割を担う海外同胞迎接局(6課)がある。通常6課と呼ばれ、同局が離散家族も管理する。
6課では離散家族を含む韓国出身者と縁故がある住民を3つに分類するが、1部類には朝鮮戦争当時、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の側で「義勇軍」だった者が属する。彼らはさらに3階層に分類され、基準は「現在の職責」「前職の功労」「子息の階層」などにより等級が定められ、待遇も変わってくる。2部類は朝鮮戦争当時、北に避難してきた韓国出身者であり、3部類は海外、日本出身者や北朝鮮で懲役に服した韓国出身者である。
つまりは1.2.3部類は北朝鮮の核心・動揺・敵対階層のように等級を定めたものと見てよい。北朝鮮に定着した離散家族はこうした1.2.3部類による待遇を受ける。北朝鮮の地主出身なら敵対階層となるように、日本で生まれたり北朝鮮で懲役に服した後に定着した離散家族は3部類に分類され、敵対階層と同様、差別待遇を受けると脱北者らは証言する。
6課の離散家族担当幹部は、離散家族再会が開催されることになると、韓国側との合意により決定された人員を決める。今回、北側から参加する人員は180人であり、彼らは再会当事者と家族である。6課が彼らの選定を担当する。さらに6課は決定された人員に対する具体的な選抜指示を各道市及び郡・区域の人民委員会外事処(外国人及び海外同胞管理を担当)に下す。
 
6課及び外事処の指導員は、各地域の国家安全保衛部員、人民保安部員、所属機関の党委員会の支援を受け、対象者に対する家庭訪問、品行及び書類調査を実施し、合格した対象者を再び道人民委員会外事処に報告する。この際、体制に対する忠誠度と出身成分などが考慮される。報告された内容を道人民委員会外事所は再び審査し、合格した対象者は団体で平壌に送られ、半月程度思想教育を集中的に受ける。
脱北者らによれば、再会行事で面会する韓国の親戚に北朝鮮の家族のなかに監獄に入っていたり、健康がよくない人は死んだと言うよう教育を受け、自身が北朝鮮で指導者の恩徳により幸せに暮らしていると話すよう強要されるという。北朝鮮当局は対象者が北朝鮮の指導者と撮影した写真や表彰を持っている場合、額縁を新たに製作して与えるほか、韓国の親戚に見せるよう教育する。体制に対する批判は決して許されない。万が一、批判した場合は再会行事の後、処罰を受ける。
こうした準備が完了すると、対象者は金剛山で開かれる離散家族再会行事に参加することになる。期間中、北側保衛部員などで構成された保障要員と管理者全員は北側離散家族を厳しく監視する。
北朝鮮に離散家族の親戚がいる某脱北者は18日、デイリーNKとの通話で「離散家族も慢性的な食糧難を経験していることを隠すため、北朝鮮当局は男性にはスーツを、女性には朝鮮チョゴリを提供したりする。北朝鮮住民が普段は食べることの出来ない肉類などを与え、対象者を太らせたりもする。歯がない場合は入れ歯などの便宜まで図る」と話した。