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統一は南北関係発展の前提でもあるが、南北関係の結果であるという点で独立的な性格を持つ。北朝鮮政権をどのように管理し、北朝鮮を民主化と改革開放の道へと誘導するのかという問題とは別途の、独自的な統一に向けた準備が我々には求められる。目前の北朝鮮の状況と南北関係に縛られている我々の「統一想像力」を呼び起こす時が来た。デイリーNKは100人が考える未来の統一を読者にそのまま伝える。統一大業の完成はこれに対する強力な意志と創意的な想像から出発すると私たちは信じている。

朴槿恵大統領が新年記者会見で「統一はビッグチャンス」と明言し、「統一」というアジェンダが社会的イシューとして浮上した。メディアでは統一が実際にビッグチャンスなのか危機なのか経済的側面から記事を発している。政界では統一アジェンダを先制するための角逐戦が展開されている。デイリーNKは企画連載「統一100人に問う」を通し、統一憲法の準備と統一前後の混沌とした朝鮮半島を先導可能な慧眼を持ち備えた統一リーダーシップの必要性を強調してきた。

今回は「統一はビッグチャンス」(ハンウリ統一出版.2012年発刊)の著者、シン・チャンミン(写真)中央大名誉教授にインタビューし、朴大統領が主張するように統一が実際にビッグチャンスとなるのかを問うた。シン教授は韓国社会は統一が実現する場合、遅れた北朝鮮を再建し住民に福祉を提供しなければならないため、莫大な資金が要求されるという一種の「恐れ」を感じていると指摘する。しかし実際、韓国の経済力と国力、国際協力などを通した統一ならば、そうした恐れは「杞憂」に過ぎないと一喝した。

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シン教授は特に、統一便益について統計と数字で理論的に統一ビジョンを提示した。単純に統一が希望に満ちた未来を開くという朴大統領と政界の肯定的思考とは異なり、統一がもたら便益に対するシン教授の具体的な資料と指標は、韓国社会に徐々に拡散しつつある統一反対論と統一無用論を払拭させる役割を期待させる。

米国南カリフォルニア大学で経済学修士学位を取得後、同国クレアモント大学で経済学博士学位を取得したシン教授には、統一費用の規模と調達方法、統一から得られる莫大な利益など、経済学者の立場から統一費用・便益について聞いてみた。また「統一ビックチャンス」発言の元祖ともいえる彼を通し、統一が我々にもたらす意味と課題についても一考してみた。

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-「統一はビッグチャンス」というスローガンに含まれる意図は?

統一費用に対するいくつかの推算が存在するが、我々にはこれをまかなう能力があり、統一を通して我々が得る利益と便益がさらに莫大だという意味。並大抵の規模でなく、想像を絶する利益を得ることが出来るという自信から同スローガンを考案した。総じて統一問題というと様々な問題を理由に忌避する姿が見受けられるが、統一は選択の問題ではなく我々が必ず克服していかなければならない問題であり、大きなビジョンを通し正しい手順に沿って自信を持って進んでいくべき問題だという点を強調する狙いもある。

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-統一費用が多額になるという漠然とした恐れがあるようだ。吸収統一となる場合、各種社会的費用を韓国が負担しなければならないという理由で統一に拒否感もあるが。

李明博大統領時代、統一税を準備するという話があったが、そうしたことが統一爆弾を抱えることになるのではいう恐怖心を生み出していたが、心配することはひとつもない。現実的に我々ができる範囲で負担すればよい。こうした投資費用は消滅するものではなく、国富として将来我々に利益として戻ってくるだろう。こうした側面から統一費用は純益計算の次元を超えるといえる。

北朝鮮の所得水準が韓国の1/20程度であるため、統一が実現してもすぐに統合は不可能。統一から10年程度、韓国のGDP7%程度を統一費用として投入しつつ、北朝鮮の経済力を高める必要があるが、我々は所得の1%程度のみ負担すればいい。

2%は軍費削減で対処し、1%は長期国債低利借款形式で世界銀行と国際復興開発銀行(IBRD)などを通して解決する方法があるだろう。北朝鮮住民の飢餓を解決し、東北アジアの安定化のために使うという目的で接近すれば問題を解決できる。残りの3%も世代間分担という目的のもと、債権発行を行い将来直接的な恩恵を受ける世代が負担する方案を国zしていくことも可能だ。

-現実性のある統一方案はまだ具体化されていない。歴代政府の統一政策の評価とともに朴槿恵政権の統一政策ビジョンを提示するとしたら。

現在まで韓国で南北管理政策は存在したが、統一政策は朴槿恵政権に入って初めて提示されたと考える。朴正熙大統領時代はむしろ北朝鮮が韓国よりも発展していたため、当時は体制維持にのみ没頭するしかなかった。その後もこれといった進展がなかったが、盧泰愚時代には経済状況が逆転し韓国開発研究院(KDI)で統一費用研究が始まったが、当時1000億ドルという驚愕の結果が出され、積極的な動きは見られなかった。

金泳三時代には北朝鮮政権と「統一」について協議したところで成果がないとの判断のもと、自由民主主義と市場経済主義で統一を実現させようとしたが、金日成が急死したことによりその動力を失った。金大中と盧武鉉の場合、統一に堪え得る経済的能力がないと判断され、言葉だけは美しき「平和共存」のみに注力していた。

朴槿恵政権は幸いにも柔軟な相互主義を基盤に統一を見据えているようだ。統一を真剣に準備するためには基本的に国民の力を統合させなければならないと考え、「統一はビッグチャンス」というスローガンを掲げたものと思われる。朴槿恵政権は今後もこうした国民的コンセンサスをもとに、北朝鮮住民の心を動かす政策を国zしていく必要がある。なぜなら現在の金正恩政権とは政治的交渉は到底不可能であり、北朝鮮住民の心を我々の側に向かせることが出来たときこそ、統一という結実を結ぶことができるためだ。

-最近の朴槿恵政権の動きは北朝鮮の急変事態に備えつつ、変化を引き出すための国際協調に注力しているといえる。周辺国に向け統一に対するビジョンを説得させる方法も重要に思われるが。

一般的に親北国家でも北朝鮮の3代独裁世襲は間違っているという認識だ。重要なのが中国だが、我々はこうした点を持続的に強調しつつ、韓国主導の統一が中国にもプラスとなるいう点を強調し続ける必要がある。

また中国は以前、戦略戦術上から緩衝地域になるという側面で北朝鮮の存在を必要としていたかもしれないが、現代社会ではこれは重要でないことを認識させ、統一韓国が中国とともに発展可能という点を強調する必要がある。

現代の政治外交は国益によって変化するという点も我々が看過してはいけない部分である。ロシアではすでに韓国主導の統一が自身の国益に損にはならないという結果が出ている。日本などを説得する際も東北アジアの平和に基づく発展を強調していけば、韓国の主導権と自信をもとに統一論理を主導していくことが可能だ。北朝鮮が平和統一を主張するのは、政権維持に必死になっているがための戦略であるという点を周辺国に明確に知らせる作業も必要といえる。

-こうした点から現在韓国にいる脱北者を活用すべきとの意見もあるが。

脱北者が韓国社会に適応し社会を先導していく人材と成長するだけでも、統一実現に大きな影響を与えると考える。また政府がこうした部分を持続的に宣伝していき、北朝鮮住民がこの事実を知ることができるようにする方案も積極的に検討していけば、住民が体制の姿を少しずつ自覚していくだろう。

未来の統一を準備していくためには、韓国社会が脱北者を抱擁し正しく理解する作業も忘れてはいけない。統一過程において北朝鮮住民の意識水準がどの程度なのか正確に把握し政策を樹立していくことが重要であるという点で、脱北者は非常に重要な存在となる。また脱北者が北朝鮮体制の矛盾を持続的に指摘し宣伝していけば、北朝鮮の崩壊を促す要素となりうる側面も強調していく必要がある。