北朝鮮の労働新聞は4日、平壌市所在の孤児及び乳幼児養育施設である育児院、愛育院へ金正恩が訪問したとのニュースを報道したが、そこで紹介された数枚の写真が目を引く。写真では金正恩が靴を履いたまま子どもたちの部屋に入っており、随行員も皆靴を履いたままの姿だった。

北朝鮮の朝鮮中央TVは、2012年7月にも、金正恩氏と李雪主夫人が平壌市京城幼稚園を訪問する様子を報道しているが、当時も土足で子どもたちの部屋に入っていた。反面、訪問先の保育員と子どもたちは皆靴を履いていなかった。
金正恩は今回の育児院・愛育院への訪問で「教育条件・栄養状態・環境改善」を強調する宣伝を行った。2014年の新年辞を通し、経済問題の解決を強調した金正恩が「人民愛」をアピールするためと解釈される。
同紙によれば、金正恩は育児院と愛育院の子どもたちに栄養価が高い干し柿を与えなければならないとし、このために軍部隊に干し柿を準備するよう最高司令官命令を下したとされる。また大同江沿いに平壌市の育児院と愛育院を新たに現代的に建設すると述べ、各道と直轄市にも関連施設を新設するよう指示した。
一方、現地視察当時、基本的なことすら守れない金正恩の人間性に民心も次第に遠ざかっていくだろうとの指摘が脱北者の間から出ている。
幼稚園の教師出身の某脱北者はデイリーNKに次のように語った。
「年配幹部の前でもタバコをふかすことを何とも思わないほどだ。子どもたちが生活する部屋に靴を履いたまま入ることは金正恩にとっては極普通のこと。このような彼の奇行は『後代愛』宣伝がリップサービスに過ぎないことを如実に表している」