北朝鮮では昨年12月の張成沢銃殺以降、彼の側近と連累者に対する大々的な粛清作業が展開されているが、その矛先が軍部にも向けられ出したという。一般の軍部隊では世代交代として一線の指揮幹部らが交代、張成沢と連累する部隊の場合、部隊長が処刑され部隊も解体されたと消息筋が伝えてきた。


北朝鮮平安南道の消息筋は4日、デイリーNKとの通話で「張成沢の側近に対する調査が拡大し、現在は軍でも粛清作業が実施されている。処罰を受けたりひどい場合は銃殺される軍人も出てくるだろう。張成沢と関連する軍への調査が中心だが、長期にわたり在籍してきた高齢の軍人の交代も行われている。張成沢が外貨稼ぎなどの経済部門に関与してきたため、軍部には彼のラインがいないと思ったら誤算。北朝鮮軍はこれまで自主的に外貨稼ぎをしてきた。これに張成沢が直間接的に関与してきたため、当局は軍に対する調査も行っている。張成沢と関連がある570軍部隊が最近全員交代した。同部隊の部隊長は処刑され、軍人も処罰を受けたり別の部隊に異動させられた」と話した。


570軍部隊員に関し、消息筋は「どこに行ったのかは定かではないが、別の所から来た軍人らが新たに570軍部隊に配置された。こうした軍人の移動は主に夜間に行われるため、情報が少ない」と説明。同部隊の全員交代と関連しては「処刑された部隊長は張成沢と関連があったとされる。最近の張成沢の側近に対する処刑は、以前のように平壌に呼び出すことなく地方で静かに行われる。張成沢ラインの人物のうち、軍関連の人物が570部隊を管理していた可能性が高い。ゲリラ戦を展開する570部隊は外部から大量の装備を購入する必要があるため、傘下に外貨稼ぎ企業所を多く従えていた。中国との外貨稼ぎを管掌していた張成沢が、側近に同部隊を管理するよう指示していたと思われる。軍部隊から流れてきた情報によれば、昨年末に開かれた哨兵大会では570軍部隊の指揮官らが別途召集され、過酷な調査が行われたという。大会が終わった後、彼らは拘禁された。このほかにも張成沢事件で検閲対象となった部隊に対する粛清が今後も相次ぐと予想される」と話した。


消息筋によれば、平安南道孟山に駐屯する570軍部隊は、戦争に備えてソウル市街戦を準備する特殊戦部隊とされ、自転車、スキー、競馬部隊が編制されている。北朝鮮でゲリラ戦を遂行する数少ない特殊部隊であり、最も敏捷で素早いとされる。


平安北道新義州の消息筋は最近の軍部隊の交代と関連し「張成沢の処刑以降、平安北道8軍団所属の一戦部隊の大佐、上佐(大佐と中佐の間)クラスの部隊長の交代が大々的に行われている。張成沢と関連がある人物だけでなく高齢の部隊長も交代している。前線地域の5軍団も同様に一線の部隊長らが大挙交代させられている。金正恩が軍部隊内を自身に忠誠を尽くす若くて新しい人物で埋めようと目論んでいる。最近の冬季訓練で連合訓練が実施されていない理由も、このように部隊長が大挙交代していることと関連がある」と説明した。