北朝鮮では最近、国境沿線地域に派遣された人民保安部傘下の政治大学生らで構成される検閲団が住民の脱北を遮断するため、大々的な検閲を実施していると伝えられる。この検閲団は現地保安員よりも多くの権限を持ち、住民の検閲だけでなく逮捕も強行していると消息筋が伝えてきた。


 北朝鮮両江道の消息筋は22日、デイリーNKとの通話で「人民保安部傘下の政治大学生で構成された検閲組が住民対象の検閲を実施しているが、最近、恵山市タプソン洞では脱北を支援したとの罪で4世帯が逮捕された。彼らは分駐所(派出所)に保管されている住民台帳をもとに世帯調査を実施する一方、行方不明となった人の足取りについて厳重に調査している。


検閲員は人民班長の立会いのもとに各家庭を訪問し、いなくなった世帯員について正確な行き先を問い詰め、他地域で死亡した住民についても確認書を準備するよう指示している。家族の中に中国や韓国に行ったと推定もしくは確認された住民だけでなく、家族の中に行方不明者がいれば無条件に韓国行きと判断し彼らを問責している」と話した。


消息筋によれば、現在鴨緑江の堤防には保安員と警備隊兵士の他に、政治大学の学生らも陣取っており、少しでも不審に見えたり家族単位で移動する住民は取締りの対象になっている。また中国側を何気なく眺めたり、理由もなく川辺を歩いても取り締まり対象となる。


消息筋は「今回の検閲が住民をさらに苦しめる理由が、保安員や知人を通した『賄賂工作』が全く通用しないということ。家族の一部が逮捕された家庭では『担当地域の保安員の権限が少しでもあればどうにななるのだが、検閲組によって連行されなす術がない』と嘆いている。検閲員は『現地保安員が賄賂を受け取り処罰を取り消すために犯罪が無くならずにいる。


脱北と密輸、海外送金も反逆罪と見て処罰するのが今回の検閲の核心』と話している。検閲員は『今回はドジョウも逃げることはできない』とも話している。国境沿線は検閲組により連日のように逮捕されたり取り締まりに遭う住民を見かけるほど殺伐とした雰囲気。『今年の検閲は実績よりも忠実性を優先する』と検閲員が明らかにしているだけに、脱北を金正恩に対する『最高尊厳毀損』とみなし大々的な国境検閲が続くのでは」と話した。


 一方で消息筋は「検閲が終わる頃(金正日の誕生日である2月16日)になれば、金稼ぎをしようとする大学生が必ず出てくる。今は検閲が始まったばかりなので真面目に活動しているが、そのうち幹部に隠れて賄賂を受け取り黙認する動きも出てくるだろう」と見通した。


北朝鮮は張成沢処刑以降、▲金正恩名誉毀損行為 ▲キリスト教及び迷信行為 ▲麻薬行為 ▲韓国ドラマなど不純録画物視聴及び流布者などに対し、厳重処罰するとの人民保安部4大指針を発普Bその後、国境地域での大々的な検閲を行っている。