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北朝鮮は各道内の主要な製鉄・製鋼企業所の労働者に支給する賃金を市場物価を反映し大幅に引き上げたが、平壌地域の紡織・被服関連の企業所に勤務する労働者に対しても9月以降、月給を30万ウォンに引き上げて支給していたことが確認された。製鉄関連の企業所と同様、競争力を持つ紡織・被服関連の企業所の稼働率を高める次元での政策だと消息筋が伝えてきた。

平壌の消息筋は29日、デイリーNKとの通話で「9月から平壌普通江被服工場を中心に関連する企業所の労働者に月給30万ウォンが支給された。同被服工場付近に位置する工作機械工場と紡織・製糸工場の労働者にも同水準の月給が支払われた。これまで被服工場で生産されてきたビナルロンや布生地などが中国に輸出されてきたため、競争力があると判断された模様。紡織など関連企業所の労働者の月給も同時に引き上げ、生産力増加で輸出量を増やそうとしている」と話した。

一般的な工場・企業所の労働者の月給(3000~4000ウォン)を考慮すると、100倍程度の引き上げとなる。月給引き上げによる稼働率の伸張で個別企業所の収益金が大幅に増加することになり、これは北朝鮮当局の財政収入増加へとつながる。そのため今回の措置は当局の財政収入増加の狙いがあるとの推測が出ている。

消息筋によれば、平壌地域の紡織及び被服工場には紡織糸を年間2万440トン、織物を年間1億メートル生産できる平壌総合紡織工場のほか、絹糸を年間700トン生産できる平壌製糸工場などがある。また平壌編物工場、東平壌紡織工場、普通江被服工場、シンドン被服工場、第一被服工場なども位置している。

消息筋はさらに「普通江被服工場には女性だけでも2千人が超える労働者が登録されており、残りの企業を足せば数万人になるだろう。地方に比べ従業員の出勤率は高いが、平壌でも登録されている数多くの従業員が欠勤することがあった。しかし、9月の賃金上昇により相当数が職場に復帰したと思われる。紡織・被服工場のほとんどが1930〜40年代に建てられたため、施設の老朽化が深刻。(当局は)月給引き上げにより生産性が高まり増加した外貨収入を通し、工場設備の再建を行うのでは」と付け加えた。

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製鉄分野の企業所(10万ウォン現金・20万ウォン現物)の場合とは異なり、平壌の紡織・被服関連の企業所への月給30万ウォンは全て現金で支給されたという。

賃金引上げに伴う物価上昇の可能性について消息筋は「ここ数ヶ月、月給が大幅に引き上げられ労働者は歓迎している。ひとまず足りなかった米と副食物の購入に月給を充てている。月給が上がった労働者が多いが、彼らが一気に市場に押し寄せることはない。平壌は地方とは異なり市場規模が大きいため、物価が上昇したりはしていない」と説明したうえで「(当局が)いくら取り締まりを厳しく行っても住民は裏で北朝鮮ウォンをドルなどの外貨に大量に交換しようとしている。最近でも大量の換金が行われており、今月初め8100ウォンで取引されていた1ウォン当りのドル為替が8400ウォンまで上昇した」と伝えた。

一方、デイリーNKは6日、北朝鮮当局が咸鏡北道に位置する茂山鉱山、金策製鉄連合企業所、城津製鋼所の労働者に対し、大幅に引き上げられた賃金により発生し得る「インフレーション」を防止するため、同企業所らが30万ウォンのうち20万ウォンは現物、10万ウォンを現金で支給したと報道している。