北朝鮮の最高指導者である金正恩氏の後継問題をめぐり、娘ジュエ氏の存在感が内外で注目される中、当の国内では必ずしも「既定路線」として受け止められてはいないようだ。韓国の情報機関である国家情報院がジュエ氏を「後継内定段階に入った」と評価したのに対し、北朝鮮住民の間にはなお慎重な見方が広がっていると、デイリーNKの内部消息筋が伝えた。
消息筋によれば、住民の間ではジュエ氏が父の現地指導にたびたび同行していることから、「後継ではないか」との見方が浮上しているのは事実だという。しかし同時に、「息子がいる」との噂も根強く、後継者を断定する空気には至っていないとされる。消息筋は「元帥様の現地指導に子どもが同行する様子を見ると、そうした(後継)考えをすることもある」としながらも、「息子がいるという話もあり、まだ確信する雰囲気ではない」と語ったという。そのうえで「誰になるにせよ、元帥様の子どもの一人が次を継ぐだろうという点だけは、強制されずとも自然に思い浮かぶ」と述べ、血統継承そのものは前提として受け止められている実態を示唆した。
(参考記事:ジュエの陰で消えていく金正恩の「青白く痩せた息子」)
北朝鮮では、金日成氏から金正日氏、そして金正恩氏へと三代にわたり世襲体制が続いてきた経緯がある。このため、住民の間でも「血筋による継承」は既定の枠組みとして受け入れられている一方、具体的に誰が後継となるかについてはなお、不透明感が残っている。
対外的にはジュエ氏の露出増加が「後継演出」との観測を呼ぶ一方で、国内の受け止めはより慎重で多層的だ。体制の安定を重視する当局がどのような形で後継問題を整理していくのか、今後の動向が引き続き注目される。
