北朝鮮当局が全住民を対象に「社会主義への確固たる信念」を植え付ける思想教育を強化していることが分かった。だが、慢性的な食料不足や経済難が続く中で、住民の間では体制の正当性そのものに疑問を呈する声も上がっており、現実とかけ離れた宣伝に対する反発が広がっている。自由アジア放送(RFA)が13日、内部消息として伝えた。

RFAによると、咸鏡北道の幹部消息筋は、最近、党が「社会主義の信念化」をテーマとする学習を指示し、住民に対し社会主義への確信を持つよう強調していると証言した。学習は「人民大衆中心の社会主義」「強力な力に担保された不敗の社会主義」「党の指導が勝利を保証する決定的要因」といった内容で進められたという。

しかし、参加者の一部からは「我々の社会のどこに社会主義の実態があるのか」といった不満が漏れ、講義内容に違和感を示す様子も見られたとされる。

消息筋は、食料難に直面する住民の間で「いまだに社会主義を唱えるのは言語道断だ」との反応が出ているとし、「世襲を繰り返す体制が、まともな社会主義と言えるのか」との疑問の声もあると伝えた。金正恩総書記が娘を後継者候補として押し立てる最近の振る舞いが、庶民の反感を誘っているのかもしれない。

(参考記事:【写真】普通の父娘関係なのか…波紋を呼ぶ金正恩と娘の異様な振る舞い

また、この思想教育は事実上、最高指導者への無条件の服従を求める内容だと指摘。「現実とかけ離れた体制宣伝に、多くの住民が背を向けている」と述べた。

平安北道の別の住民消息筋も同日、各機関や企業所で同様の学習会が開かれ、「社会主義は科学であり、その勝利も科学である」とする主張が繰り返されたと証言した。一方で講師は、社会問題の原因を「幹部の誤った行為」に帰する説明を行い、体制そのものへの批判を回避する姿勢が目立ったという。

当局はまた、学生用の制服や学用品の供給、育児政策の充実などを「無償提供」として宣伝しているが、消息筋は「実態は宣伝とはかけ離れている」と批判。軍事施設内の温室や養殖場などが住民生活の改善に寄与しているとの主張についても「生活とは無関係な誇張だ」と否定的な見方を示した。

住宅建設や観光地開発についても、強制動員によって進められているにもかかわらず、当局が体制の成果として宣伝しているとし、不満はくすぶり続けている。

北朝鮮当局は思想統制を通じて体制の引き締めを図る構えだが、現実との乖離が大きいほど、かえって住民の不信と冷笑を招く結果となっている可能性がある。