「北朝鮮で急変事態が発生しても戦争や大規模自然災害が発生しない限り、住民らの大量脱北事態が発生する可能性は低い」という主張が提起された。
国家安保戦略研究所のヒョン・ソンCル主席研究委員は15日、コリア政策研究院と21世紀国家発展研究院主催の「北朝鮮の急変事態時、大量難民発生展望と対策」と題するセミナーで、「北朝鮮からの大量脱北難民発生の可能性を必要以上に誇張したり過度の被害意識にとらわれる場合、北朝鮮の急変事態防止と体制安定化を北朝鮮政策の絶対的な目標としかねない」とし、このように主張した。
ヒョン主席研究委員は大量脱北事態が発生する可能性が低い理由について「(北朝鮮の)葛藤は大規模難民を発生させるほどの膨大な勢力間の対決というよりは、少数と多数の対立関係。勝者が少数の場合、多数の大量脱出を抑制可能ということは北朝鮮政権が立証済み」と説明したうえで、「多数が勝者の場合、少数が報復を避けて脱出することも想定されるが、これを大量脱北難民を規定することはできない。北朝鮮の主要な葛藤要因は食糧難と権力層の腐敗、核及び大量破壊兵器の開発と脅威などであり、全て金正恩政権の責任。北朝鮮体制の安定化とは、結局こうした葛藤及び不安定な要因の持続的な産生と増幅を黙認すること」と指摘。「韓国と国際社会は金正恩政権が北朝鮮社会の内部に潜む全ての葛藤と矛盾の根源を自ら根絶するよう、変化を誘導する努力を継続的に進めていかなければならない。北朝鮮で急変事態が発生するのではなく、北朝鮮自ら中国のような変化を選択することで朝鮮半島の安定と平和に寄与するよう誘導するのが最も望ましい道」と強調した。
デイリーNK統一戦略研究所の孫光柱所長は「金正日死後から現在まで急変事態が発生しなかったからと急変事態発生の可能性がなくなったとか、顕著に低下したと判断するのは全体主義体制の特性を考慮しない短絡的な思考とも言える」と評価したうえで、「これからは詳しい分野にまで北朝鮮の『内在的急変研究』が必要。臨時統治機関過渡期問題と朝鮮半島平和統一への履行に関する研究が本格的に実施される必要があると」と要請した。