北朝鮮の国営メディアは、金正恩総書記と実娘の金ジュエ氏が、朝鮮労働党および朝鮮人民軍の幹部らに、第9回党大会を記念した新型狙撃銃(スナイパー・ライフル)を贈る様子を写真で公開した。
贈呈式後には、金ジュエ氏がライフルの引き金を引く瞬間の写真、さらに映像も公開された。金正恩氏からすれば北朝鮮の武力のイメージとジュエ氏を重ね合わせ、後継体制をより印象づけるつもりだっただろう。しかし、暴力の象徴である銃を10代前半の少女に持たせ、さらに引き金を引かせる写真と映像まで公開するのは常軌を逸しているとしかいいようがない。
金正恩氏はこれまで、実娘の金ジュエ氏をミサイル試射の現場や大規模な軍事パレードなど、主に軍事色の強い行事に同行させてきた。経済関連の施設視察に姿を見せることもあったが、象徴的なのはやはり軍事分野での登場が目立つ点である。(参考記事:【写真】金正恩父娘“恋人のような密着シーン”に北朝鮮内部から「おぞましい」との違和感も)
そこには、ジュエ氏と北朝鮮軍のイメージを意図的に重ね合わせ、将来にわたり現在の軍事路線を引き継ぐ存在であることを内外に印象づける狙いがあるとみられる。
もっとも、これまではあくまで「同行」という形にとどまり、ジュエ氏自身が政治や軍事の意思決定に関与しているわけではないとの余地も残されていた。そのため、年少の後継候補として一定の“ニュートラル”な印象を保つことも可能だった。
しかし、今回のライフル試射は意味合いが異なる。単に軍事行事に立ち会うのではなく、自ら引き金を引く姿を写真や映像で公開したことで、「後継者もまた好戦的である」というイメージを世界に向けて発信したに等しい。これは、象徴的な演出の段階を一歩踏み越えた出来事と言えるだろう。
