住民は「工場の空き地や塀の下には、豆やトウモロコシ、ジャガイモなどの作物を植え、従業員で分け合ってきた。昨年は多くの工場がこうした自助努力で飢えをしのいだ」と語る。芝生造成は、そうした貴重な耕作地を奪いかねないと不満を募らせている。
(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為)平安北道の別の住民も「会議の場は一瞬で冷え込んだ。深く土を掘る体力も、土を焼く燃料もない。腹が満たされてこそできる作業だ」と語り、「どの工場や機関でも、わずかな空き地に作物を植えているのが現実だ」と指摘した。
韓国・統一研究院の趙漢範(チョ・ハンボム)上級研究委員は、金正恩政権の政策決定の特徴について「極めて独善的で即興的だ」と分析する。地方発展政策や工業振興策も、党大会の正式決定を経ず、金氏の場当たり的な指示で拡大されてきたという。芝生造成も、留学経験のある金氏が海外の景観を北朝鮮に持ち込もうとする意図が背景にあるとしつつ、「生活実態を無視した指示は、生産性の低下や住民生活へのさらなる負担を招くだけだ」と批判した。(参考記事:ここまで飢えが…北朝鮮「山奥の洞窟」で起きた衝撃事件)
住民の間では「当局は『人民第一主義』を掲げながら、肝心の食糧問題を顧みない」と失望が広がっており、現場との深刻な乖離が浮き彫りとなっている。
