米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)は2月5日、北朝鮮当局による厳しい取り締まりにもかかわらず、国内での薬物汚染が深刻化し、主婦や青少年にまで広がっていると報じた。薬物はもはや「生活必需品のように受け止められている」との証言も出ている。

平安北道の司法機関幹部はRFAに対し、元日と金正恩総書記の誕生日(1月8日)に合わせて実施された特別警備期間中、摘発された犯罪の大半が薬物関連だったと明らかにした。職場仲間をバイクではねた青年や、空き巣を働いた高校生、口論の末に刃物を振るった主婦らが、いずれも覚醒剤使用による幻覚状態にあったという。

内部資料では、都市部の主婦の約2割、若者のほぼ半数が薬物を使用しているとの報告もある。かつては中高年男性が中心だったが、現在は女性や青少年にまで広がり、強盗や暴力事件など凶悪犯罪の温床となっている。

両江道の住民は「商売資金や家財を売り払うほど依存する主婦も多く、家庭崩壊が相次いでいる」と証言した。少年少女の間では、薬物使用を誇示し、入手のために手段を選ばない風潮も広がっているという。

(参考記事:「銭湯で男女入り乱れ」北朝鮮高校生らの禁断の行為

こうした現象は今に始まったことではない。10年以上も前に脱北したある女性は、薬物の蔓延が北朝鮮を離れる決定的なきっかけだったという。

「隣家の10代の学生が覚せい剤中毒になって大変な騒ぎとなった。それをきっかけに薬物について独自で調べたところ、あまりにも薬物が蔓延する実情を見て、この国(北朝鮮)はもう終わりだと思い、脱北を決意した」(Aさん)

北朝鮮当局は2021年に「麻薬犯罪防止法」を制定し、密造や密輸には死刑も含む重罰を科したが、効果は限定的だ。脱北者出身の専門家は「1980~90年代に外貨稼ぎ目的で国家が生産を主導したことが元凶で、取り締まる側の幹部自身が使用している現状では根絶は困難だ」と指摘している。