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今年初め金正恩の指示で国境警備が大幅に強化され、以前とは異なり生計型密輸業者が摘発された場合も国家安全保衛部に連行され、殴打を含むありとあらゆる取り調べを受けるという。最近では保衛部幹部の実績作りと賄賂獲得のための過剰な取調べが相次いでいると消息筋は伝えた。

北朝鮮両江道の消息筋は16日、デイリーNKとの通話で「中国の商人と中国製衣類の密輸を行う家族の一人が一週間前、品物を受け取る過程で警備隊に摘発された。現在は保衛部の取調室で調査を受けている。面会に来るよう保衛部から連絡があり行ってみたところ、木材で殴打され手足は骨折し立つことができず、顔も誰だか分からないほどになっていた」と伝えた。

消息筋によれば、一般的に国境沿いで中古品などの密輸をして摘発されると、1000中国人民元(韓国ウォンで18万ウォン程度)程度の賄賂を渡せば釈放されるが、最近では無条件に5000中国人民元(韓国ウォンで90万ウォン)を要求するという。賄賂の額が上昇し生計型密輸業者が賄賂を渡せなくなるや、国境警備隊が保衛部に移送しこうした殴打と過酷な行為が発生している。

消息筋は「最近は密輸を行う住民が警備隊に逮捕されると、警備兵は以前よりも高額の5千中国人民元を要求し、金がないと保衛部に移送される。保衛部に移送されると5千中国人民元から1万中国人民元(韓国ウォンで180万ウォン)を要求する。金のない零細な住民はどうにもできない。中古衣類を販売して生計を立てる密輸業者にとって1万中国人民元は想像もできない額。保衛部取調室に拘束されると『何が何でも金を準備してくれ』と哀願するが、家産を全て売り払ってもお金にならず、だからといって今すぐに家を売ることもできない状況」と話した。

消息筋はさらに「旧盆連休を控え生計型密輸業者が活発になることを悪用し、警備隊と保衛部員による住民への略奪行為が深刻化している。一部の悪質な保衛部は手足が折れた家族を見せ付けて賄賂を準備するよう強要したりもする」と強調した。

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1万中国人民元は北朝鮮ウォンで1285万ウォン(1中国人民元=1285ウォン)。密輸業者が1年間密輸を行っても稼ぐのが困難な額だ。同金額を恵山市場での現在の米価相場(1キロ 6000ウォン)で計算すると2141キロが購入可能。権力を利用した保衛部員による常習的な賄賂要求のために、北朝鮮住民の苦労は過重する一方と消息筋は指摘した。