北朝鮮当局が今年、除隊軍人や工場で働く若者、高級中学校の卒業生までを大量に炭鉱・鉱山・林業(伐採)の現場へ配置する大規模な労働力動員令を出したと、韓国の独立系メディア「サンドタイムズ(ST)」が1日付で伝えた。地方工場建設や工業の基礎となるエネルギー・資材生産部門の慢性的な人手不足を解消するための措置だと説明されているが、現地では「青年層を犠牲にする強制動員だ」との反発が広がっているという。
複数の消息筋がSTに語ったところによると、金正恩総書記は最近、朝鮮労働党第9回大会準備に関連した高官会議で「重大な結論」を提示し、炭鉱・鉱山および林業現場の人員不足問題を「切迫した課題」と言及したという。
金正恩氏は「地方発展20×10」政策3年目となる今年の事業準備状況を点検する中で、「エネルギーと資材供給の根本的限界が露呈し、その背景には慢性的な人手不足がある」との趣旨で述べたとされる。
また金正恩氏は、2026年の政策対象となる20の市・郡での工場建設と、国家工業発展の中核である炭鉱・鉱山地帯を活性化するためには「人的・物的力量を総動員しなければならない」と強調。これを受け、党と青年同盟は、今年除隊する兵士や工場労働者、高級中学校卒業生のうち軍入隊対象者を除いた人員を中心に、炭鉱・鉱山・林業現場へ一括配置するよう指示を出したとされる。この方針は1月上旬、道・市・郡単位の党組織と青年同盟に下達された。
(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為)
問題は、この措置に対し現地で不満が爆発している点だ。消息筋は「突然炭鉱や伐採場に連れて行かれることになった除隊軍人や若者の間で、虚脱感と怒りが急速に広がっている」と伝えた。除隊を控えた兵士たちは「10年間あらゆる苦労を重ねて国を守ったのに、故郷にも帰れないのか」と激しい反応を示しているという。
機関や企業所にとっても負担は大きい。消息筋は「各企業所が割り当てられた動員人数を満たすため若者を強制的に選ばねばならず、責任を押し付け合いながら互いに様子をうかがっている」とし、「誰が行き誰が行かないかを巡って内部対立も深まっている」と述べている。
北朝鮮地方党の高官出身の脱北者A氏STの取材に、「地方工場の建設と稼働には、電力生産の核心である石炭と坑道維持に必要な木材確保が不可欠だ」としつつ、「生産不足の根本原因は設備の老朽化、エネルギー難、資材不足にある。しかし改善する余力がないため、罪のない若者を過酷な現場に追い込み労働力を搾取しようとしている」と批判した。
